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生物の名を持つ酒の物語【ワイン編】:テロワール、伝説、そして生態系への敬意

前回の投稿では「生物名のつく日本酒・焼酎」につき深掘りリサーチした結果をレポートしました。

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今回は、【ワイン編】です。ワインのネーミングやラベルデザインなどが(葡萄以外の)生物由来のものを特集します。

序章:日本酒からワインへ—ネーミングの哲学の多様性

日本の伝統的な酒のネーミングが「鶴亀」に代表されるように、長寿や吉祥を願う縁起物としての側面が強いのに対し、ワインのネーミングに生物名が冠される際は、少し異なる哲学が流れています。

それは、そのワインが生まれた土地のテロワール、古くから伝わる伝説、そして現代における自然との共存という、より具体的かつ広大なメッセージを表現するためです。

本稿では、グローバルなワイン市場における「生物名」の役割を探ります。

 

第1章:テロワールと伝説の象徴—物語を背負う動物たち

ワインの銘柄名に使われる動物は、しばしばその産地の風土や、蔵元が抱く品質への威厳を象徴します。

1-1. 権威と伝統を象徴する動物たち【羊と野生動物】

シャトー・ムートン・ロートシルトの「ムートン」は羊

ボルドーの五大シャトーの一つ、シャトー・ムートン・ロートシルト (Château Mouton Rothschild) の「ムートン」は、フランス語で「羊」を意味します。

これは、古語で「小さな丘(Mothon)」に由来する説もあり、ロートシルト家の揺るぎない権威、そしてテロワールに深く根差した伝統を象徴しています。

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マン・ヴィントナーズ (MAN Vintners) のラベルに南アフリカ固有の野生動物

また、南アフリカの生産者マン・ヴィントナーズ (MAN Vintners) のラベルには、ガゼルなど南アフリカの野生動物が描かれています。

特に、ガゼルをモチーフにしたラベルは、その軽やかで優雅な跳躍力を、ワインのフレッシュでしなやかな味わいと結びつけて表現しています。

これは、産地の固有の野生動物をラベルに採用することで、そのテロワールの独自性とワインのキャラクターを消費者に直感的に伝える手法です。

1-2. 幸運を呼ぶ伝説の使者【黒猫】

動物ラベルの古典的な事例の一つが、ドイツ・モーゼル地方の銘柄「ツェラー・シュヴァルツェ・カッツ (Zeller Schwarze Katz)」です。その名はドイツ語で「ツェル村の黒猫」を意味します。

このワインの誕生には、「昔、黒猫が居座ったワイン樽の酒が、特別に美味しかった」という逸話が残されています。

この伝説に基づき、黒猫はツェル村のワインの品質の証、そして幸運を運ぶ使者としてラベルに描かれ、甘口のモーゼルワインとして世界的な人気を博しています。これは、動物の物語がブランドの個性を確立し、消費者に親しみやすさを与えた好例と言えます。

 

第2章:土壌と生態系への敬意—畑の「共存者」たち

健全なブドウ畑には、微生物や虫、小動物など、多様な生物が生息しています。これらの「畑の共存者」たちをラベルの主役とすることは、蔵元が農薬を使わない自然な農法を採用している証であり、「自然との共存」を伝える具体的な方法です。

2-1. 益虫が語るオーガニックの証【テントウムシ】

テントウムシは、ブドウの害虫であるアブラムシなどを食べてくれる「益虫」の象徴です。農薬を使わないオーガニックやビオディナミ農法を採用しているワイナリーにとって、テントウムシの存在は畑の生態系の健全さを示す証となります。

例えば、山梨のガレージワイナリー「ラベルヴィーニュ (L'Abel Vigne)」シリーズのペティアンや、イタリアのオーガニックワイン「セブン・ドッツ (Seven Dots)」など、国内外でテントウムシをラベルに配する事例が見られます。

彼らはこの可愛らしいデザインを通じて、「安全で自然な環境で育まれたブドウ」というメッセージを伝えているのです。

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2-2. 日本ワインの知恵—羊による草刈りとラベルの物語【羊】

国産ワインには、自然との共存の哲学を体現する、独自の事例があります。

山梨県の老舗ワイナリーまるき葡萄酒では、ブドウ畑の除草に「羊」を放牧する「草刈り隊」の活動を行っています。

羊は自然な形で雑草を(山羊のように「根こそぎ」でなく)処理し、その排泄物は有機肥料となる、エコフレンドリーな農法です。この伝統的かつ持続可能な農法を示すシンボルとして、一部のラベルに羊のイラストが愛らしくあしらわれています。

これは、「自然の力を最大限に活かすワイン造り」という、蔵元の哲学を消費者に伝える、具体的なメッセージとなっています。

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2-3. 畑の生命力とテロワールの根幹【蟻】

蟻は土壌を耕し、有機物を運ぶ、畑の生命力に不可欠な存在です。

一部のビオディナミ系のワイナリーでは、この小さな働き者である蟻を、健全な土壌を象徴するモチーフとしてラベルに取り入れています。

これは、「目に見えない畑の生命力がワインの品質を支えている」という蔵元の深い哲学を表現するものです。

 

第3章:動物をモチーフにした新時代のブランディング

グローバル市場において、ワインのネーミングとラベルデザインは、伝統やテロワール以上に、親しみやすさと視覚的なインパクトを重視する方向に進化しています。

以下に、ネーミングとラベルデザインが「生き物」由来であるものをあげます。網羅はできていませんので、あなたが知っている生物名ワインがありましたら、コメントで教えていただけましたら幸いです。

3-1. 動物ラベルの世界的ブームと「アルパカ」の成功

この「動物ラベル」ブームの火付け役の一つが、チリのサンタ・ヘレナ社が手がける「アルパカ (Alpaca)」ワインです。

アンデス山脈の象徴的な動物であるアルパカをシンボルマークに据えたこのワインは、複雑なうんちくや伝統的な格式にとらわれることなく、誰もが気軽に手に取れる「デイリーワイン」としての地位を確立しました。

3-2. 強烈なビジュアルで市場を席巻する「イエローテイル」

オーストラリアワインの代名詞の一つ、「イエローテイル ($$ yellow tail $$)」も、現代的なブランディングの成功例です。ラベルには、カラフルなデザインでワラビー(カンガルーの一種)のイラストが大胆に描かれています。

イエローテイルは、「ワインにうんちくは一切不要。いつでも、どこでも、気軽に楽しく飲める」というコンセプトを、この強烈なビジュアルの動物ラベルを通じて世界に伝え、瞬く間に輸入ワイン市場で大成功を収めました。

3-3. 熊のラベルで知られる「PANAMERA(パナメラ)」

「PANAMERA(パナメラ)」というワインは、「クマ」のラベルで知られています。

  • 柄名:パナメラ(Panamera)
  • 生産地:アメリカ合衆国、カリフォルニア州生産者ストーリー・リッジ・ヴィニャーズ(Story Ridge Vineyards)
  • 代表品種:シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨンなど
  • ラベルのモチーフ:クマ(熊)
    • モチーフ: ラベルに描かれているクマは、カリフォルニア州の旗にも描かれているグリズリー(ハイイログマ)をモチーフにしている可能性が高いです。
    • カリフォルニア州のシンボルであるクマは、「力強さ」や「カリフォルニアの自然」を象徴しています。
    • デザイン: ラベル自体はシンプルでモダンなデザインですが、中央のアイコンまたは隅に、カリフォルニア州の旗に似た、クマのイラストが採用されていることが、多くの飲用者や販売店の間で言及されています。
    • メッセージ: このラベルは、複雑なデザインが多いナパやソノマの高級ワインとは一線を画し、親しみやすさとカリフォルニアらしい力強い果実味を持つワインであることを示唆しています。

「PANAMERA(パナメラ)」ワインは、カリフォルニア産のワインで、「クマ」のラベルが特徴的な、コストパフォーマンスの高い人気銘柄です。

3-4. カリフォルニアワイン「ダークホース」

カリフォルニアワインの生き物ラベルには、このような”ダークホース”も!

3-5. 牛も恋する!?スペインワイン

スペインの赤ワイン「ベソ・デ・ヴィノ」のラベルに描かれているのは、ワイナリーのキャラクター「牛がモチーフの『アントニオ』」。

さすが、闘牛の国スペインですね。

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3-6. こんなダークホースも!

3-7.ボトルに魚の骨が刻まれた「フィッシュフック」

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3-8.オーストラリアの「リトル・ペンギン ピノ・ノワール」

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3-9.世界最小の鹿プーズーは、チリワインの「プダ」シリーズ

世界最小の鹿が語る、希少性と保護のメッセージ【プーズー】
  • プーズー(Pudú):チリやアルゼンチンのアンデス山脈に生息する世界最小の鹿。絶滅危惧種でもあります。
  • 銘柄への採用理由: ワイナリーが取り組む環境保護活動へのメッセージ、そしてプーズーの持つ「小型だが生命力が強く、希少性が高い」というイメージを、ワインの凝縮感やユニークな個性と重ね合わせて表現。

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3-10.ボトルに魚の形が刻まれているペッシェヴィーノ

  • ペッシェヴィーノ (Pescevino):
    イタリアの白ワインで、ボトルに魚の形が刻まれている非常にユニークなデザインが特徴です。
    「ペッシェ」はイタリア語で「魚」、「ヴィーノ」は「ワイン」を意味し、シーフード料理と相性が良いとされています。

3-11.ラ・ヴィエイユ・フェルム (La Vieille Ferme)

ラベルにフランスの国鳥である「鶏」が描かれています。

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3-11.バランス (Balance)

「象」のラベルが特徴的です。

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終章:生物名に託された「地球の味」

ワインにおける生物の物語は、単なる装飾や縁起担ぎではなく、そのワインが生まれた土地の歴史、生態系の健全さ、そして蔵元の地球環境に対する責任を表現する、深く、そして力強いメッセージなのです。

あなたが知っている生物由来のワインがありましたら、コメントで教えていただけましたら幸いです。

興味深いですよ!「生物名が冠されたワインの銘柄」。

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