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おひつじ座(アリエス)生まれの つくねパパ が 、コミュニケーション最適化運用関連でつぶやきます。「生き物探訪」記事もSEOのショーケース。

自動車に咲いた「美の象徴」:植物の名を冠するクルマたち

前回までの記事で、ライオンやジャガー、ワスプ(スズメバチ)といった力強い哺乳類や昆虫の名を持つ車を紹介してきました。以下のリンク先を参照ください。

 

「鳥類の種名が冠されたクルマ車種名」は、以下のリンク先を参照ください。

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「哺乳類の種名が冠されたクルマ車種名」は、以下のリンク先を参照ください。

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「魚類の種名が冠されたクルマ車種名」は、以下のリンク先を参照ください。

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「昆虫が冠されたクルマ車種名」は、以下のリンク先を参照ください。

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自動車のネーミングには、動物の持つ「力強さ」や「俊敏さ」とは対極にある、植物の「美しさ」「普遍性」、そして「大地との繋がり」をテーマにしたモデルも多く存在します。

本記事では、その中でも特に象徴的な「植物の名」を持つクルマたちを紹介し、各メーカーがその名に込めた想いを紐解きます。

序章:「生命の源」植物が自動車に託された意味

自動車のネーミングにおける植物のモチーフは、動物のような直接的な走行性能のイメージではなく、「永遠の美」「親しみやすさ」「生活への密着」といった、より人間的な感情やライフスタイルに結びついています。

それは、花や樹木が持つ普遍的な美しさと、生命の源としての安らぎを、所有者に提供したいという願いの表れと言えるでしょう。

第1章:「花の冠」の普遍性:世界に咲き誇るトヨタ・カローラ

世界で最も売れた自動車の一つであるトヨタの「カローラ(Corolla)」は、植物名を冠した車の代表格です。

その名前は、英語で「花冠(かかん)」、ラテン語で「花で作った冠」を意味します。当時の開発コンセプト「人目をひく、美しいスタイルのハイ・コンパクトカー」にふさわしい、美の象徴として選ばれました。

さらに特筆すべきは、このカローラがトヨタの伝統的な「冠」ネーミングの系譜に連なっている点です。上位モデルの「クラウン(王冠)」、そして「コロナ(光冠)」に続いて、カローラは「花の冠」として、より多くの人々が手にできる国民車の王座を目指しました。

そして、「カムリ(CAMRY)」も、日本語の「冠(かんむり)」から作られた造語であり、この「冠」をテーマとするトヨタの歴史的なラインナップの一翼を担っています。カローラは、単なる花の名前ではなく、「冠」という格式と大衆性を両立させた、戦略的なネーミングだったと言えます。

トヨタ・カローラ - Wikipedia

車名の"Corolla"はラテン語で「花で作った」、英語では「花冠」(花弁の集合的呼称)を意味する。これはトヨタの主力セダンであるクラウン(王冠)、コロナ(太陽冠)に続いて「冠」を象徴し、なおかつアルファベットの"C"で始まることに由来する。日本以外では「コローラ」もしくは「コロラ」と発音することが多い。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/62/1968_Toyota_Corolla_1100_Deluxe.jpg

 

第2章:美とファッション:花の名を纏う欧州車

イタリアの小型車、フィアット「500(チンクエチェント)」は、その愛らしいデザインから、頻繁に限定車や特別仕様車が作られます。その一つに「Super Pop Fiore(スーパーポップ・フィオーレ)」がありました。

「Fiore(フィオーレ)」はイタリア語で「花」を意味します。この限定車のコンセプトは、「花のある生活が心に彩りを与えてくれるように、毎日を明るく、明日も楽しく」という、極めてファッション志向の強いものでした。

モチーフとされたのは、イタリアの街角でよく見かける3種の花です。

  • ゼラニウム(赤)
  • ジャスミン(白)
  • グリーンカーネーション(緑)

これらの花の色が、イタリアの三色旗(トリコローレ)を織り成すイメージとして、専用のステッカーにデザインされました。この例は、車名そのものに「花」を冠し、視覚的なデザインにまで花を取り込むという、イタリア車らしい美意識の現れと言えるでしょう。

フィアット・500 - Wikipedia

car.watch.impress.co.jp

 

第3章:紛らわしいが実は植物ではない名前

いすゞ フローリアン:

いすゞに「フローリアン (Florian)」という車種がありましたね。

大変懐かしい名前です。

しかし、「フローリアン」の車名の由来は、植物ではありませんでした。

いすゞ・フローリアンは、その上級サルーンとしての抜きん出た資質を象徴するため、以下の由来から名付けられています。

  • フローリアン(Florian)の由来:【動物・人名】
    • オーストリア皇帝の愛馬: 車名の「フローリアン」は、オーストリア皇帝の純白の名馬の名前に由来します。この名馬は、児童文学作家フェーリクス・ザルテンの作品『白馬フローリアン』にも登場しています。
    • 聖人フロリアヌス: さらに、この馬の名は、安全の神として知られる聖人フロリアヌス(Saint Florian)に由来しています。

フローリアンという言葉自体には、ラテン語で「花咲く」という意味を持つ florens に通じる語源的背景があるものの、いすゞの公式な命名由来としては「白馬フローリアン」が採用されています。

 

第4章:神話と大地:サブネームに宿る植物の恵み

メインの車名以外にも、植物や大地に由来する言葉は、サブネームとして車に生命力を与えています。

カローラシリーズの派生車種には、「カローラ・セレス」がありました。
「セレス(Ceres)」は、ローマ神話の「実りの女神」に由来します。実りの女神は農業や穀物を司る存在であり、人々に恵みを与える植物の象徴です。これは、車が人々の生活を豊かにするという願いが込められたネーミングと言えます。

また、広義の「大地」を意味するネーミングでは、かつて販売されていたミニバン「ガイア」も、ギリシャ神話の「大地の女神」が由来となっており、広々とした室内と安定感を象徴していました。

 

終章:植物がクルマの「未来」を創る

かつて、車名に「花の冠」という美しさを込めた自動車メーカーは、今、物理的な素材としても植物に注目しています。

近年開発が進む「セルロースナノファイバー(CNF)」は、植物由来の繊維をナノレベルに細かくしたもので、鉄の5分の1の軽さで5倍以上の強度を持つと言われる次世代素材です。このCNFを樹脂やゴムに混ぜて車体パーツに利用することで、車の軽量化と燃費向上、そしてサステナビリティ(持続可能性)の実現に貢献します。

また、トヨタはかつて、日本の高温多湿な気候に適合する耐暑性ラベンダーなど、独自の花卉(かき)を開発・販売していた実績もあります。

これは、自動車メーカーが単に移動手段を提供するだけでなく、人々の生活空間や環境そのものに、植物を通じて深く関わろうとしてきた歴史を示しています。

「動物の名を冠するクルマ」が「力」を求めたのに対し、「植物の名を冠するクルマ」は、「美」と「持続可能な未来」を象徴しているのです。

興味深いですよ!「植物名が冠されたクルマ車種名」。