今回の「生き物にまつわる言葉を深掘り」のテーマは、「北関東3県(茨城・栃木県・群馬)の県名」です。
北関東3県(茨城・栃木県・群馬)の県名には、それぞれ「茨」「栃」「馬」といった生き物名が含まれています。
県名の語源や由来は、これら動植物とどのようなかかわりがあるのでしょう?
「北関東3県(茨城・栃木県・群馬)の県名」について深掘りリサーチし、その結果を以下の目次に沿ってまとめレポートしました。
北関東とは?
北関東とは、関東地方の北部または中北部地域を指す名称です。一般的には、以下の3県を指します。
- 茨城県
- 栃木県
- 群馬県
ただし、埼玉県の一部(特に北部や秩父地域)を含める場合もあり、その場合は4県となります。
北関東と南関東の違い
関東地方は、大きく分けて北関東と南関東に分けられます。
- 北関東: 茨城県、栃木県、群馬県(場合によっては埼玉県の北部)
- 南関東: 東京都、神奈川県、千葉県(場合によっては埼玉県の南部)
北関東の特徴
北関東は、南関東に比べて人口密度が低く、自然豊かな地域です。
以下のような特徴があります。
- 広大な農地: 米や野菜などの生産が盛ん。
- 豊かな自然: 山々や川が多く、アウトドアレジャーが楽しめる。
- 温泉地: 草津温泉、那須塩原温泉など、有名な温泉地が多い。
- 伝統工芸: 栃木県の益子焼、群馬県の桐生織など、伝統工芸が発展している。
北関東3県の県名由来について
北関東3県の県名、茨城県、栃木県、群馬県。それぞれの由来は興味深いものばかりです。
各県の県名の由来を以下に記します。
茨城県
茨城県の県名の由来:
定説は、県内の海岸線に多く生息する「イバラ(茨)」という植物に由来する説です。
茨城県の県名は、古くからの地名「茨城」に由来します。
この「茨城」は、常陸国風土記に記されているように、棘のある植物が生い茂る場所であったことから名付けられたと考えられています。茨城県の海岸線は、かつてはイバラが群生していたと考えられています。
具体的にどの植物を指していたのかは、はっきりとは分かっていませんが、バラ科のバラ以外にも、様々な棘のある植物が考えられます。
イバラの詳細:
「茨」の意味:
イバラは鋭い棘をもつことから「茨の道」という言葉も生まれ、困難な道のりを意味します。
古くは、棘のある木全般を指す言葉でした。バラだけでなく、グミやサンショウなど、棘のある様々な植物を「茨」と呼んでいました。
時が経つにつれて、「茨」は「バラ」の意味合いが強くなっていきました。
バラ(薔薇)の語源・命名の由来。イバラとの関係は?
バラの語源は、その美しさや棘を持つ特徴など、様々な角度から考察されています。
- イバラからの派生: 日本語の「バラ」は、棘のある低木を指す「イバラ」が変化したものと考えられています。
「イ」が脱落し、「バラ」という形になったとされています。 - 中国語からの影響: 漢字の「薔薇」は、中国語から導入されました。
中国語では「薔」は垣根、「薇」は風にそよぐという意味があり、つるバラを指していたと考えられています。
なぜバラが茨城県の花になったのか
- 「茨」とバラの結びつき:時の経過とともに、「茨」は「バラ」の意味合いが強くなっていきました。
- 「茨城」の地名の由来が「茨」であることから、バラは茨城県と深い結びつきを持つようになったと考えられます。
バラの美しさ:バラは、その美しさから古くから人々に愛されてきた花です。
茨城県を象徴する花として、バラが選ばれたのは自然な流れと言えるでしょう。
栃木県
栃木県の県名の由来:
諸説ありますが、有力な説として「トチノキ」に由来する説があります。
トチノキはムクロジ科トチノキ属の落葉高木で、県内にも多く生育していました。
トチノキの実は食用になるほか、デンプンを採るなど、人々の生活に深く関わっていました。
栃木県・県名の由来
「栃木」という県名は、このときの本県最初の県庁所在地「栃木町(現在の栃木市)」に由来しています。
「栃木」の地名の語源は、はっきり分かっていませんが次のような説があります。
十千木(とおちぎ)説
神社「神明宮」栃木町(現在の栃木市)内に神明宮という神社があり、社殿の屋根にある2組の千木(ちぎ)と8本の鰹木(かつおぎ)が、遠くから見ると10本に見えたことから、神社の辺りを「十千木(とおちぎ)」と呼ぶようになったという説。トチノキ説
トチノキがたくさん生えており、それが転訛して「トチギ」になったという説。崩壊地名説
栃木町(現在の栃木市)内を流れる巴波川は、かつてたびたび氾濫を起こしたことから、千切れた地形(浸食された地形)の動詞「チギ(る)」に接頭語の「ト」が付いたという説。
遠津木(とおつき)説
「古事記」に登場する豊城入彦命(とよきいりびこのみこと)が、木(毛)の国(現在の栃木県)と木(紀)の国(現在の和歌山県)を区別するため、遠くはなれた木の国という意味で「遠津木(とおつき)」と命名したものが、「トチギ」に転訛したという説
県名に「栃」の字が使われるようになった経緯
「栃」の字は、中国でできた漢字ではなく、日本でできた国字です。ちなみに、中国の漢字では「橡」と書きます。
近世
地名ではほとんどが「杤」の字を使用していましたが、まれに「橡」や「栃」の字の使用もありました。なお、「杤」の字も日本でできた国字ですが、読み方“とち”の“と”が数字の十、“ち”が数字の“千”で、10×1000が「万」になることから、「万」の字に「木へん」を組み合わせたものとの説があります。
トチノキの詳細:
トチノキは、大きな葉と白い花が特徴的な木です。
春に花を咲かせ、秋には大きな実をつけます。
実は食用にできるほか、デンプンを採って「栃餅」を作るなど、古くから人々に利用されてきました。
トチノキ(栃の木・栃・橡の木・橡、学名: Aesculus turbinata)はムクロジ科トチノキ属の樹木である。トチ、七葉樹とも呼ばれる。
名称
標準和名はトチノキ。また、木を抜いたトチと呼ばれることも多い。漢字は「栃」が当てられる。標準和名の由来は、朝鮮語由来、アイヌ語由来、果実由来など諸説ある。・・・
トチノキは栃木県の県木で、1966年6月28日に制定された。「栃の木」「栃の葉」や「マロニエ」共々栃木県に関連する物象に冠されることがある。
街路樹として用いられるトチノキ(左および中央の列、右はイチョウ、宇都宮市)
群馬県
群馬県の県名の由来:
群馬の語源は「車」です。奈良時代、この地域は「車郡」と呼ばれており、それが「群馬」に転訛したと考えられています。
群馬県命名の時代と歴史
群馬県の県名は、明治4年(1871年)の廃藩置県時に、現在の高崎市や前橋市を中心とした「群馬郡」の名をそのまま県名としたことに由来します。
車(くるま)郡から群馬(くるま)郡への変化
群馬県の名前のルーツを辿ると、古代には「上毛野国(かみつけのくに)」と呼ばれていた地域に「車郡(くるまのこおり)」という郡が存在していました。
この「車郡」が、いつどのように「群馬郡」に変わったのか、その経緯は以下のように考えられています。
- 漢字表記の統一: 奈良時代に入ると、全国の国や郡、郷の名前を二文字の漢字で表すことが定められました。この際、「車(くるま)郡」は「群馬(くるま)郡」という字に置き換えられました。
- 豪族との関係: 一説には、「車郡」の名は、この地域にいた「車持(くるまもち)」という豪族に由来するという説もあります。天皇の御者(ぎしゃ)を務めていた人物で、その名前にちなんで郡名が付けられたと考えられています。
- 馬との関連: もう一つの説として、「群馬」という字が「馬が群れる」ことを意味し、この地域が馬の放牧地であったことから名付けられたという説もあります。
なぜ「群馬」という字が選ばれたのか、明確な理由は分かっていませんが、上記の説のように、地域の豪族や地理的特徴、あるいはその両方から複合的に考えられているようです。
県名の由来となった群馬郡は元は「くるまのこおり」と言い、藤原京木簡では「車」の一字で表記されていたが、奈良時代の初めに全国の郡や郷の名を二文字の好字で表記することとなり「群馬」と書くようになった。
群馬は「馬が群れる」という意味であり、貴重な馬が群れている豊かな土地であった。この地方が古くから馬に関係あったことはよく知られている。
県名の由来 - ぐんまの概要 - 群馬県ホームページ(メディアプロモーション課)
奈良時代に入るとすぐ、和銅6年(713年)の諸国の風土記編集の勅令により、国・郡・郷名はその土地にあった漢字二文字で表すこととされ、国名「上毛野国(かみつけのくに)」は「上野国(こうずけのくに)」に、郡名「車(くるま)郡」は「群馬(くるま)郡」に改められました。
群馬県の県名は、長い歴史と地域住民とのつながりを背景に誕生しました。
群馬県の県名は、古くからの「車(くるま)郡」という名に由来し、時代の変遷とともに「群馬(くるま)郡」→→「群馬(ぐんま)県」へと変化しました。
「群馬」という字は、豪族の名前や地域の地理的特徴など、様々な要素が絡み合って生まれたと考えられています。
まとめ
- 茨城県は、海岸線に多く生息していた「イバラ」に由来しています。
- 栃木県は、「トチノキ」に由来する説が有力です。
- 群馬県は、「車」という地名が転訛(くるま→ぐんま)」したものです。群馬という漢字が当てられた由来は不詳ですが、古くから馬に関係あった地方でした。
このように、北関東3県の県名は、その土地の自然や歴史と深く結びついています。
それぞれの県を訪れる際には、これらの由来を思い出しながら、地域の自然や文化に触れてみるのも面白いでしょう。
興味深いですよ!「北関東3県(茨城・栃木県・群馬)の県名と生き物との関係」。