アリエスコム ARIEScom

おひつじ座(アリエス)生まれの つくねパパ が 、コミュニケーション最適化運用関連でつぶやきます。「生き物探訪」記事もSEOのショーケース。

伝説から飛び出した名前——「キリン」から「サイ」への物語

実在する生き物なのに、なぜか「空想上の怪物」や「神話の登場人物」の名を背負わされた者たちがいます。

それは、初めてその姿を見た人々の驚きが、名前という形になって定着した結果です。

今回は、空想と実在が交差する、不思議な名前の由来を紐解きます。

 

1. 予算を勝ち取った「方便」:キリン(麒麟)

明治40年(1907年)、上野動物園がドイツの動物商から購入した「ジラフ」。

高額な予算を納得させるため、当時の石川園長は「これこそが伝説の霊獣・麒麟である」と言い張りました。

アフリカの野生動物に東洋の神様の名を上書きした、大胆なブランディングの成功例です。

 

2. 悪夢を食べる神獣:バク(獏)

長い鼻を持つ不思議な姿の「バク」。

彼らもまた、中国伝来の空想上の動物「獏(ばく)」の名をそのまま受け継いだ存在です。

空想の獏は「人の悪夢を食べる」とされていますが、実在のバクがその名で呼ばれるようになったのは、やはりその奇妙な姿が「この世の動物とは思えない=伝説の生き物だ」と信じられたため。

姿が名を生み、名が新たな伝説を育むという、面白い逆転現象が起きています。

 

3. 鎧をまとった伝説の獣:サイ(犀)

「キリン」と同様に、東洋の伝説と西洋の生物が合体したのが「サイ」です。

英語では「Rhinoceros(ライノセラス)」、短縮して「ライノ」と呼ばれますが、これはギリシャ語で「鼻(rhino)に角(keras)」という意味。

非常に写実的なネーミングです。

対して、漢字の「犀(さい)」は、古来中国で水牛に似た伝説の猛獣を指していました。

この「犀」には、その堅牢な皮膚で鎧(よろい)を作るという伝説があり、初めてライノを見た東洋の人々は、その堅牢な皮膚と圧倒的な存在感から「これこそが伝説の犀だ」と確信し、その名を当てはめたのです。

 

4. 聞き間違いが生んだ新種:シロサイとクロサイ

シロサイ(白犀)は、実は体が白いわけではありません。もともと現地のアフリカーンス語で、口の形が「広い(wijd / 英語のwide)」と呼ばれていました。

ところが、これを聞いたイギリス人が「white(白)」と聞き間違えてしまったのです。

その対比として、もう一方は特に黒くないのに「クロサイ」と呼ばれることになりました。

 

5. 伝説の「わからない」:カンガルー

名前の取り違えエピソードとして最も有名なのがカンガルーです。

かつてキャプテン・クックがオーストラリアに上陸した際、先住民に「あの動物の名は?」と尋ね、返ってきた言葉「カンガルー」を名前だと思い込んだ……。

そしてその意味は、現地の言葉で「わからない(I don't know)」だった、という非常に有名な話があります。

実はこれ、現代では「面白い俗説」と考えられています。

実際には、現地グーグ・イミディル族の言葉で、大型のクロカンガルーを指す「ガングルー(Gangurru)」という言葉が正しく伝わったものだということが判明しています。

しかし、この「わからない説」がこれほど世界中に広まったこと自体、いかに人間が「未知との遭遇」における名前のトラブルを楽しんでいるかの現れかもしれません。

 

6. 孫悟空のモデル:キンシコウ(金糸猴)

国内では熊本市動植物園でしか見ることがでるない「キンシコウ」。

その鮮やかな金の毛並みから、中国では『西遊記』の孫悟空のモデルであると語り継がれてきました。

彼らは「物語のヒーロー」という名前のフィルターを通して、今も愛され続けています。

 

6. 西洋の人魚伝説:ジュゴンとサイレン

この現象は東洋だけではありません。人魚伝説のモデルとされるジュゴンは、分類上の目名が「カイギュウ目(Sirenia)」です。

これはギリシャ神話に登場する、歌声で航海士を惑わす怪物「セイレーン(サイレン)」に由来しています。

荒れ狂う海を航海する船乗りたちが、遠くで子育てをするジュゴンの姿を見て「人魚だ!」と叫んだ驚きが、今も科学的な名前にまで刻み込まれているのです。

www.ariescom.jp

 

まとめ:名前が生き物に「物語」を授ける

分類学的な正解よりも、伝説の中の「あいつ」に似ている。あるいは、ちょっとした聞き間違い。そんな人間たちの想像力が、生き物たちに新しい命を吹き込んできました。

  • キリン(知略で「伝説の霊獣」へ昇華させた)
  • バク(姿が奇妙すぎて「神獣」の名を冠された)
  • シロサイ(聞き間違いから、存在しない「色」を付けられた)
  • カンガルー(「わからない」という誤解の物語さえ愛された)
  • ジュゴン(哺乳類を、海の神秘「人魚」へと翻訳した)

 

名前とは、ただのラベルではありません。それは、人間が自然界に対して抱いた「畏怖」や「驚き」、そして時には「うっかりミス」さえも記録した、目に見えない物語なのです。

 

興味深いですよ!「名と実がズレてしまった生き物たち」。

 

次回も お楽しみに!

www.ariescom.jp