今回の「生き物にまつわる言葉を深掘り」のテーマは、「ワンダーフォーゲル」です。
私自身は、スカウト運動(ボーイスカウトなど)にどっぷりはまっていたのですが、高校・大学のサークル活動として、山岳部とは違うワンゲル部のこともよく見聞きしていました。
ワンダーフォーゲル(ワンゲル)について、深掘りリサーチし、その結果を以下の目次に沿ってまとめレポートとしています。
ワンダーフォーゲル(Wandervogel)について、その意味、由来、語源、沿革、現状の活動規模などを詳しくご説明します。
1. ワンダーフォーゲルの意味と語源
ワンダーフォーゲルは、ドイツ語で「Wander(放浪する、歩き回る)」と「Vogel(鳥)」を組み合わせた言葉で、「渡り鳥」を意味します。
渡り鳥のように自由に各地を歩き回り、徒歩旅行を通じて心身を鍛え、質素な生活を通して自立の精神を養うという青年運動に由来します。
ワンダーフォーゲル (ドイツ語: Wandervogel、「渡り鳥」の意味)は、1896年から1933年にかけてのドイツにおいて行われた青年運動のことである。
この運動の参加者は国内にハイキングに出かけ、自然と親しく関わることによって工業化に抗議した。
中世において放浪を行っていた学者の影響を引いており、彼らにとっての原点は古代のチュートン人の価値を取り戻すことであった。ワンダーフォーゲル運動はドイツのナショナリズムを非常に重視していた。
スカウティング(スカウト運動(ボーイスカウト等))のための組織とは異なり、ワンダーフォーゲル運動は権力による制御の外側から自然に発生したものであり、メンバーは選抜と任命によって増加していった。
1930年ごろのベルリンにおけるワンダーフォーゲルの集団
日本には第二次世界大戦前のドイツとの国家的友好関係とその影響の元に、1933年(昭和8年)文部省内に「奨健会ワンダーフォーゲル部」が設けられ、国による健全な青少年運動として宣伝と普及が開始された。
それらに触発され1935年(昭和10年)に発足した立教大学ワンダーフォーゲル部が日本での最初の学生団体である。
その後、戦争をまたいで高度経済成長と登山大衆化を背景として各地の大学に広く設立されるに至る。
各地方に学生ワンダーフォーゲル連盟といった組織が存在するものの、その組織率は低く一部にとどまっているほか全国組織は現在存在しない。
高校や高専の部活動の一つとしてのワンダーフォーゲル部も存在する。
2. ワンダーフォーゲルの由来と沿革
19世紀末のドイツで、都市生活から離れ、自然の中で自由と連帯を求める青年たちの間で始まりました。
1895年にドイツのシュテーグリッツ高等学校の生徒たちが始めた野外活動が発祥と言われています。
20世紀初頭には、ドイツ各地に広がり、青年運動として発展しました。
日本では、戦前にドイツの青年運動として紹介され、戦後に大学や高校のクラブ活動として広まりました。
山が多い日本では、登山を中心に発展していきました。
3. 活動内容
グループで山や野を徒歩で旅行し、自然の中で自炊やテント泊などの共同生活を送ります。
自然との触れ合いを通じて、体力や精神力を鍛え、仲間との絆を深めることを目的としています。
登山、ハイキング、キャンプ、自然観察など、幅広い活動が含まれます。
4. 現状の活動規模
現在でも、多くの大学や高校にワンダーフォーゲル部が存在し、活発な活動を行っています。
近年では、アウトドアブームの影響もあり、一般の社会人サークルなどでもワンダーフォーゲルの活動が見られます。
活動規模を正確に示す統計データはありませんが、幅広い世代に親しまれているアウトドア活動と言えます。
5. ドイツ民謡との関係
ドイツにおけるワンダーフォーゲル活動では、自然の中で歌い、踊り、語り合うことを楽しみ、その中でドイツの伝統的な民謡を大切に歌い継ぎました。
ワンダーフォーゲルの活動において、ドイツ民謡は重要な役割を果たしました。
自然の中で歌うことで、参加者の一体感を高め、連帯感を育みました。
ドイツの歴史や文化を反映した民謡を歌うことで、愛国心や郷土愛を育みました。
民謡の素朴な歌詞やメロディーは、自然の中で過ごす彼らの心情と共鳴しました。
ワンダーフォーゲルの活動を通して、多くのドイツ民謡が再評価され、後世に伝えられました。ワンダーフォーゲルは、ドイツ民謡の普及と継承に大きく貢献したと言えます。
ワンダーフォーゲル運動は、ドイツ民謡の普及に大きく貢献しました。特に、以下のような民謡がワンダーフォーゲルの間で愛唱され、広まったとされています。
代表的なドイツ民謡
「菩提樹」(Der Lindenbaum):
シューベルトの歌曲集「冬の旅」の一曲として知られていますが、元々はドイツの古い民謡です。
ワンダーフォーゲルの間でも愛唱され、自然や故郷への想いを歌う歌として親しまれました。
日本でも唱歌として広く親しまれています。
「ローレライ」(Die Lorelei):
ハイネの詩にジルヒャーが曲をつけた歌曲で、ライン川の伝説を題材にしています。
ロマンチックな旋律と歌詞が、ワンダーフォーゲルの心情と共鳴しました。
日本でも良く知られたドイツ歌曲です。
「さすらいの歌」(Das Wandern ist des Müllers Lust):
シューベルトの歌曲集「美しい水車小屋の娘」の1曲ですが、元々はドイツの民謡です。
この曲は「歌」の題名の通り、さすらう事の喜びを歌っています。
ワンダーフォーゲルの活動そのものを表す曲として愛されました。
日本への影響
ワンダーフォーゲル運動は、日本の登山やハイキング文化にも影響を与えました。
日本の登山家や学生たちがワンダーフォーゲルの理念に共感し、同様の活動を始めたことで、これらのドイツ民謡も日本に紹介されました。
特に「菩提樹」や「ローレライ」は、唱歌や合唱曲として日本でも広く親しまれています。
これらの民謡は、ワンダーフォーゲルの活動を通して、自然を愛する心や仲間との絆を育む歌として、世代を超えて歌い継がれています。
まとめ
ワンダーフォーゲルは、単なるアウトドア活動ではなく、自然との共生、仲間との連帯、自己成長を重視する精神的な側面も持っています。
ワンダーフォーゲルは、ドイツの青少年が自然の中で活動する中で、ドイツ民謡を積極的に取り入れました。ドイツ民謡は、ワンダーフォーゲルの活動において、参加者の一体感や愛国心を育む重要な要素となりました。ワンダーフォーゲルは、ドイツ民謡の普及と継承に貢献しました。
ワンダーフォーゲル運動は、ドイツの文化や精神に深く根ざしており、その中でドイツ民謡は重要な役割を果たしました。
興味深いですよ!「ワンダーフォーゲル」。