今回の「生き物にまつわる言葉を深掘り」のテーマは、「シラウオ(白魚)」「シロウオ(素魚)」「シラス(白子)」「シラスウナギ(白子鰻)」です。
混同されやすい「シラウオ(白魚)」「シロウオ(素魚)」「シラス(白子)」「シラスウナギ(白子鰻)」を「生き物にまつわる言葉」として深掘りリサーチし、混同しないための判別ポイント・区別点を、以下の目次に沿ってまとめレポートします。
シラウオ、シロウオ、シラス、シラスウナギの違いを詳しく解説
「シラウオ」「シロウオ」「シラス」「シラスウナギ」は、名前が似ていて、見た目も少し似ているため、混同してしまうことがあります。それぞれ全く異なる魚ですが、どのような違いがあるのか、詳しく解説していきます。
シラウオ(白魚)
シラウオ(白魚、鮊)は、キュウリウオ目シラウオ科(Salangidae)に分類される魚の総称。狭義には、その中の1種 Salangichthys microdon の和名である。ただし、時にシロウオと混同される。
東アジアの汽水域周辺に生息する半透明の細長い小魚で、食用にもなる。
別名はシラオ、シラス、トノサマウオ、シロウオ、シロオなど。ただし「シラス」は、体に色素がなく白い稚魚の総称としても使われる。「トノサマウオ」という別名は、野良仕事をしない領主(殿様)のきれいな手をシラウオになぞらえたものという説がある。
また、細長くて半透明の優美な姿から、女性の細くて白い指を「シラウオのような指」とたとえることがある。
シラウオ
食材:
日本のみならず、中国や東南アジアでも食用にされる。日本では高級食材として扱われている。シラウオは非常に繊細で漁で網から上げて空気にふれるとほとんどがすぐに死んでしまうため、生きたまま市場に出回ることはほとんどない(活魚として出回るシロウオとは対照的である)。料理方法としては、煮干し、佃煮、酢の物、吸い物、卵とじ、天ぷら、炊き込みご飯などがあげられる。また、刺身や寿司などとして生で食べることもある。江戸前寿司のネタとしては、コハダやアナゴとならんで最古参にあげられる。
- 分類: キュウリウオ目シラウオ科
- 特徴: 透明感のある細長い体、頭が尖っている。
- 生態: 河川の下流付近の海で産卵し、春に漁獲される。
- 旬: 春
- 主な産地: 日本各地
- 特徴的な料理: 天ぷら、かき揚げ
シロウオ(素魚)
シロウオ(素魚、鱊、学名 Leucopsarion petersii )は、ハゼ科に分類される魚の一種である。一種のみでシロウオ属 Leucopsarion を構成する。透明な体の小魚で、日本や朝鮮に分布し、食用に漁獲される。
キュウリウオ目シラウオ科に分類されるシラウオとは生態や姿が似ていて混同しやすいが、全く別の魚で、分布も異なる。
日本での地方名としてヒウオ(氷魚。茨城県・徳島県)、イサザ(北陸)、ギャフ(伊勢湾沿岸)、シラウオ(関西・広島県)などがある。関西地方などでの呼称は、シラウオ科のシラウオとの混称。また、北陸地方での呼称イサザは、琵琶湖産ハゼの一種の標準和名に充てられていて、琵琶湖で氷魚はアユの稚魚を指す。
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英語では氷のハゼを意味するice gobyと呼ばれる。
四つ手網で漁獲されたシロウオ。長崎県長崎市
食文化
近年、日本では高級食材として扱われている。死ぬと著しく風味が落ちるとされるため、流通する際は、水と酸素を充填したポリ袋に入れるなどして、死なせないように注意が払われる。生のシロウオを軍艦巻の寿司種にしたり、生きたままポン酢などで食べる踊り食いなどで生食が広がりつつある。踊り食いや生食については河川の細菌や寄生虫(横川吸虫)など、衛生上の問題が一部で指摘されている。他に、天ぷら、卵とじ、吸い物の椀種、ニンジンなどと共に炊く炊き込みご飯などの料理が伝統的に食べられている。
- 分類: スズキ目ハゼ科
- 特徴: シラウオよりやや小ぶり、頭が丸みを帯びている。
- 生態: 浅い海に生息し、産卵期に河口に集まる。
- 旬: 春
- 主な産地: 西日本
- 特徴的な料理: 天ぷら、吸い物、卵とじ、福岡市の室見川などで名物になっている“踊り食い”
シラス(白子)
シラス(白子、英: Whitebait)とは、体に色素が乏しく白っぽい稚魚・仔魚の総称。含まれる魚類は多様で、イカナゴ、カタクチイワシ、マイワシ、ウルメイワシ、アユ、ニシン、ウナギ(シラスウナギ)など。これらの一部は食用とされ、塩ゆでにして干した加工食品はちりめんじゃこ、白子干し(白子乾し)などと呼ばれる。
生シラス
- 分類: イワシ類の稚魚
- 特徴: 透明感のある小さな体、種類によって多少見た目が異なる。
- 生態: 海中でプランクトンを食べて成長する。
- 旬: 年中
- 主な産地: 日本各地
- 特徴的な料理: シラス丼、かき揚げ、佃煮
シラスウナギ(白子鰻)
シラスウナギ
日本において沿岸域に回遊するウナギの稚魚は「シラスウナギ」あるいは「ノウメンコ」「ソウメンコ」という。
それ以前の、海中を回遊する幼生はレプトケファルス(葉形仔魚)と呼ばれる。
シラスウナギはいわゆる「養殖ウナギ」の元として捕獲された後大切に飼育され、十分に育った後にウナギとして食用出荷されるが、シラスウナギそのものはあまり食用とはされない。
近年のシラスウナギ漁獲量自体が少ないことに加え、ウナギ養殖業者間での引き合いもあり、1キログラム当たり数万円以上(2000年頃)という高値で売れるためである。シラスウナギが豊富に漁獲されていた当時は「のれそれ」と呼ばれ食用に供されることもあった。
スペインでは「アングーラス(angulas)」といい、名物料理になっている
- 分類: ウナギ科の稚魚
- 特徴: 細長い体、透明感のある薄い体色。
- 生態: 海から川を遡上し、成長する。
- 旬: 冬から春
- 主な産地: 日本各地
- 特徴: 高価な食材
混同しないための判別ポイント
「シラウオ(白魚)」「シロウオ(素魚)」「シラス(白子)」「シラスウナギ(白子鰻)」の区別点・判別ポイントを以下に一覧表化します。
【「シラウオ(白魚)」「シロウオ(素魚)」「シラス(白子)」「シラスウナギ(白子鰻)」の判別ポイント】
区分 |
シラウオ | シロウオ | シラス | シラスウナギ |
---|---|---|---|---|
分類 | キュウリウオ目シラウオ科 | スズキ目ハゼ科 | イワシ類の稚魚 | ウナギ科の稚魚 |
頭の形 | 尖っている | 丸みを帯びている | 種類による | 細長い |
大きさ | 比較的大きい | 小さい | 小さい | 小さい |
生息場所 | 河川の下流、付近の海 | 浅い海 | 海 | 海、川 |
旬 | 春 | 春 | 年中 | 冬~春 |
おもな産地 | 日本各地 | 西日本 | 日本各地 | 日本各地 |
価格 | 比較的安価 | 比較的安価 | 安価 | 高価 |
補足
- 地域差: 地域によっては、シロウオをシラウオと呼ぶ場合もあるなど、呼び名に地域差がある。
- 見た目: 生の状態では、特にシラウオとシロウオは見た目が似ており、専門家でも見分けるのが難しい場合がある。
まとめ
シラウオとシロウオは、どちらも春が旬で、透明感のある細長い体をしていますが、分類、頭の形、生息場所が異なります。
シラスは、イワシ類の稚魚の総称で、種類によって見た目が異なります。
シラスウナギは、ウナギの稚魚で、非常に高価な食材です。
これらの違いを理解することで、それぞれの魚を正しく識別できるようになるでしょう。
興味深いですよ!「シラウオ(白魚)」「シロウオ(素魚)」「シラス(白子)」「シラスウナギ(白子鰻)」。