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「三猿」を深掘りリサーチ!語源・由来、意味や用例など

神社・仏閣にある生き物像に関して「生き物にまつわる言葉を深掘り」では、過去に何度か投稿を重ねています。

www.ariescom.jp

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今回の「生き物にまつわる言葉を深掘り」のテーマは、「三猿」です。

三猿」の意味や語源、用例などを深掘りリサーチし、以下の目次に沿ってレポートしていきます。

 

三猿とは?

見ざる、聞かざる、言わざる

三猿(さんざる、さんえん)は、誰もが一度は目にしたことがあるであろう、目、口、耳を塞いだ3匹の猿の像(またはその意匠)です。

この像は、単なる装飾品ではなく、深い意味と歴史を秘めています。

三猿 - Wikipedia

三猿(さんざる、さんえん)とは3匹の猿が両手でそれぞれ目・耳・口を隠し、「見ざる、聞かざる、言わざる」という叡智の3つの秘密を示す意匠である。

 

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【世界的に有名な日光東照宮の三猿像】

 

三猿の語源と起源

「三猿」というこの言葉自体に特別な語源はありません。単に、目、口、耳を塞いだ3匹の猿を表す言葉として定着しました。

「見ざる、聞かざる、言わざる」の日本語の語呂合わせから、日本が三猿発祥の地と思われがちですが、3匹の猿というモチーフ自体は古代エジプトやアンコール・ワットにも見られます。

三猿の起源

三猿の起源は、中国の思想や仏教にまで遡ります。具体的な起源については諸説ありますが、一般的には、孔子の言葉「非礼勿視、非礼勿聴、非礼勿言(ぎれいぶつし、ぎれいぶつちょう、ぎれいぶつごん)」がその根源にあると考えられています。

この言葉は、「礼に背くようなことは見るな、聞くな、言うな」という意味で、道徳的な行動を促す言葉です。

また、三猿の起源や由来については、様々な説が入り混じり、一概にこう断定することは難しい問題です。孔子や慈恵大師良源上人など、異なる時代や思想を持つ人物が関連付けられるのは、その奥深さゆえと言えるでしょう。

それぞれの説について
  • 孔子説: 孔子の言葉「非礼勿視、非礼勿聴、非礼勿言」を根拠に、三猿の思想は孔子の教えに由来するとする説です。この説は、道徳的な規範としての三猿の解釈を深める上で重要な視点です。
  • 慈恵大師良源上人説: 天台宗中興の祖 良源上人が神猿について詠んだ七猿歌は、三猿の概念をさらに広げ、「思わざる」という新たな要素を加えたと考えられています。この説は、三猿が単なる行為の抑制だけでなく、心の持ち方についても問いかけていることを示唆します。
三猿の多様な解釈

これらの説以外にも、三猿の起源については、古代エジプトやアンコールワットなど、様々な地域で類似のモチーフが見られることから、世界共通の概念であったとする説もあります。また、庚申信仰と結びつけて、三尸虫を封じるためのものとする説も存在します。

このように、三猿の起源は多面的であり、それぞれの説に独自の解釈が存在します。

どのように捉えるべきか

三猿の起源をどのように捉えるかは、個人の考え方や価値観によって異なります。

  • 歴史的な視点: それぞれの説の歴史的な背景や、当時の社会状況を考慮することで、三猿がどのように人々に受け入れられ、発展してきたのかを理解することができます。
  • 哲学的な視点: 孔子の教えや良源上人の思想など、哲学的な側面から三猿の意味を深く掘り下げることも可能です。
  • 宗教的な視点: 庚申信仰など、宗教的な側面から三猿を捉えることで、その象徴的な意味合いを理解することができます。

三猿は、時代や文化によって様々な解釈がなされてきました。現代においても、三猿は人々に多様なインスピレーションを与え続けています。

 

庚申信仰における三猿の役割

庚申信仰では、青面金剛が三尸(さんし)という悪霊を退治し、人々を守護する神として信仰されているケースがあります。
また、三猿は、人の悪事を天帝に告げないように目、口、耳をふさいでいる姿で表され、青面金剛の働きを助ける存在として位置づけられています。
多くの庚申塔には、青面金剛と三猿が一緒に彫られており、視覚的に両者の主従の関係性が表現されています。

しかし、三猿が必ずしも青面金剛の従者であるとは限らない点も考慮する必要があります。三猿は、単に庚申の夜に悪事をしないようにという戒めを象徴している(だけ)という解釈もあります。

地域によっては、三猿の役割や青面金剛との関係性が異なる場合があるのです。

三猿が青面金剛の従者であるという説は、庚申信仰における一般的な解釈の一つですが、唯一の解釈ではありません。
三猿は、青面金剛の従者であると同時に、庚申信仰の戒めを象徴する存在としても捉えることができます。

 

三猿の意味するところ

三猿のそれぞれのポーズが表す意味は以下の通りです。

  • 見ざる:悪いことや不必要なものを見ないようにする。つまり、善悪の判断力を持つこと、そして悪い影響を受けない心を表します。
  • 言わざる:悪いことや嘘を言わないようにする。つまり、言葉の大切さを認識し、言葉によって人を傷つけないことを意味します。
  • 聞かざる:悪いことや不必要なことを聞かないようにする。つまり、余計なことを気にせず、心に平穏を保つことを意味します。

 

三猿に込められた思想

三猿に込められた思想は、時代や文化によって様々な解釈がされてきました。

  • 仏教:仏教では、三猿は煩悩を象徴し、「見ざる、言わざる、聞かざる」の実践によって、煩悩から解放されることを教えています。
  • 道教:道教では、三猿は邪気を払う力があるとされ、魔除けとして崇められてきました。
  • 儒教:儒教では、孔子の教えに基づき、道徳的な生き方を促す象徴として捉えられています。

仏教における三猿

戒律の象徴: 仏教では、五戒(ごかい)という基本的な戒律があり、三猿は、その中の「悪口を言わない」「悪いことをしない」「悪いことを聞かない」という戒律を視覚的に表したものとされます。

  • 煩悩からの解放: 煩悩に振り回されず、清らかな心を保つことの大切さを説いています。
  • 悟りの象徴: 悟りを得た者は、世俗の煩悩に心を乱されることなく、平和な心でいることができるという教えと結びつけられることもあります。

道教における三猿

修養の象徴: 道教では、三猿は、内省と自己修養の重要性を説く象徴として捉えられます。自分の心の内を深く見つめ、悪行をせず、余計なことを言わないようにすることで、道徳的な人間へと成長していくことを目指します。

  • 長生不老: 道教が求める長生不老の思想とも結びつき、三猿は、そのための心の状態を表すとも考えられます。

庚申信仰における三猿

  • 戒めの象徴: 庚申信仰では、庚申の夜に悪事を働くと寿命が縮むという信仰があり、三猿は、その戒めを視覚的に表すものとされます。
  • 守護神との関連: 青面金剛などの守護神とともに描かれることが多く、これらの神々が三尸(さんし)と呼ばれる悪霊から人々を守るために、三猿が邪気を払う役割を担っているという解釈もあります。

儒教における三猿

  • 道徳の象徴: 儒教では、仁義礼智信といった徳を重んじ、三猿は、これらの徳を具現化する象徴として捉えられます。
  • 君子としてのあり方: 君子として、言葉遣いや行動に注意し、道徳的な生き方を心がけることの大切さを説いています。

神道における三猿

  • 自然との共存: 神道では、自然と人間が一体であるという考えが根底にあり、三猿は、自然の中で生きる上で大切な心の状態を表すものとされます。
  • 神々とのつながり: 神々と人間が調和して生きるためには、余計なことを言ったり、悪事をしたりせず、自然に敬意を払うことが大切であるという思想と結びつけられます。

どの宗教や思想においても、三猿は、人間がより良い生き方をするために大切な心の状態や行動を表す象徴として捉えられています。

しかし、それぞれの宗教や思想の背景や価値観の違いによって、三猿に込められた意味合いは多様であり、それぞれの宗教が持つ独自の解釈が存在します。

 

日光東照宮の三猿

三猿の像は、日本各地で見られますが、特に有名なのは日光東照宮にある三猿でしょう。日光東照宮の三猿は、猿の一生を表現しているという説や、それぞれのポーズが異なる意味を持つという説など、様々な解釈がされています。

 

三猿という言葉の用例

「三猿」という言葉は、その意味するところから、様々な文脈で用いられます。以下に、いくつかの用例と例文を挙げます。

道徳的な行動を促す場合

  • 「見ざる言わざる聞かざる」の精神で、この問題に対処すべきだ。
    →悪いことを見聞きしても、それを広めたり、感情的に反応したりせず、冷静に対処することを促す言葉です。
  • 子供たちには、幼い頃から「三猿」の心を養うことが大切だ。
    →子供たちに、道徳心や倫理観を育むことの重要性を説く際に使われます。

情報過多な社会における注意喚起

  • SNSの情報は玉石混淆。三猿の精神で、本当に必要な情報だけをキャッチアップしよう。
    →誤った情報や不確かな情報に振り回されないように、注意を促す言葉です。
  • 24時間ニュースに振り回されるのではなく、時には「聞かざる」ことも大切だ。
    →情報過多な現代社会において、精神的な安定を保つためのアドバイスとして使われます。

組織におけるコミュニケーション

  • 上司の指示は、まずは「聞かざる」ことにしてはいけない。
    →組織の中で、上司の指示を無視することの危険性を指摘する言葉です。
  • 同僚の悪口は「聞かざる言わざる」を徹底しよう。
    →組織内の良好な人間関係を保つためのアドバイスとして使われます。

その他

  • 「見ざる言わざる聞かざる」は、私の座右の銘だ。
    →個人の価値観や生き方を表す言葉として使われます。
  • あの絵は、まさに「三猿」を表現しているようだ。
    →ある作品や状況を、三猿の概念で比喩的に表現する際に使われます。

 

三猿の類義語や言い換え

  • 見ざる:目を閉じる、見ないふりをする、無視する
  • 言わざる:口を閉ざす、黙っている、何も言わない
  • 聞かざる:耳を塞ぐ、聞かないふりをする、聞き流す

 

まとめ

三猿は、単なる装飾品ではなく、人々の心に深く根ざした思想や哲学を表現する象徴です。その意味は、時代や文化、そして個人の解釈によって変化しますが、普遍的なテーマである「善と悪」「言葉の力」「心の平穏」など、私たちが生きていく上で大切なことを教えてくれる存在と言えるでしょう。

「三猿」というシンプルな言葉自体の中に深い意味と多様な解釈が込められています。道徳的な行動を促すことから、現代社会における情報過多への警鐘まで、幅広い文脈で用いられています。

興味深いですよ!「三猿」。