今回の「生き物にまつわる言葉を深掘り」のテーマは、「プラム(plum)」と「アンズ(apricot)」と「ウメ(Japanese apricot)」です。
実は、プラムという植物とプルーンとよばれるドライフルーツ商品などの違いを明確にしたくて、深掘りリサーチをはじめた次第です。
ところが、バラ科の「属」の分類は最近になっていろいろ変更されていることがわかり、戸惑っていることも事実です。人間による見た目での分類基準と、DNAの分析による分類基準との違いがここでも戸惑いの元となっています。
「スモモ(plum)」と「アンズ(apricot)」「ウメ(Japanese apricot)」を「生き物にまつわる言葉」として深掘りリサーチし以下の目次に沿ってまとめレポートとしました。
plum や apricot が指す植物の種類を整理します。
plum が指す植物の種類
plum は、以前は、バラ科スモモ属の果樹の総称とされていました。
日本語では「スモモ」と訳されますが、英語の plum は日本語のスモモよりも広い範囲の果物を指します。
スモモ(李・酢桃、学名: Prunus salicina)はバラ科サクラ属の落葉小高木。また、その果実のこと。原産地は中国。中国から古くに日本へ渡来し、和歌などにも詠まれる。果樹として農園で栽培される他、自生しているものもある。
スモモの果実はモモに比べて酸味が強いことが、和名の由来となっている。
漢字では「李」とも書かれる。英語では “Asian plum”(アジアン・プラム)、“Japanese plum”(ジャパニーズ・プラム)などとよばれる(ただしウメも「プラム」と呼ばれることがある)。
「スモモ」とよばれる栽培種は多数あり、日本に多く見られる中国原産のスモモ(日本スモモ)と、ヨーロッパ・コーカサス原産の西洋スモモ(ヨーロッパスモモ〈学名: Prunus domestica〉・アメリカスモモ〈学名: Prunus americana〉) に大別できる。
日本のスモモはニホンスモモが多品種と交雑してできた品種で、総称して「プラム」とよばれている。
19世紀にアメリカに渡ったスモモは育種家のルーサー・バーバンクの手により「ソルダム」「サンタローザ」「ビューティー」などの品種として改良され、再び日本に「プラム」として輸入された。
それらを元に日本では「大石早生」「月光」などに発展させていった。
一方、ヨーロッパスモモは、青紫色の楕円タイプが多く、日本ではプルーンがよく知られている。
plum には、大きく分けて以下の 2 つの種類があります。
西洋スモモ (European plum): Prunus domestica
プルーンやミラベルなどの品種が含まれます。
果実は比較的大きく、甘味が強いものが多く、生食やジャム、ドライフルーツなどに利用されます。
プルーン
スモモの一種で、主に西洋スモモ(Prunus domestica)の特定の品種を指します。
特に、乾燥させてドライプルーンにするのに適した品種がプルーンと呼ばれます。
果実は、生食のほか、ドライプルーン、ジャム、ジュースなどに加工されます。
つまり、プルーンはスモモの中でも、特にドライプルーンに適した品種群のことを指します。
英語では、プルーンは "prune" と呼ばれます。
しかし、"prune" は元々「乾燥させたスモモ」という意味であり、生の状態のプルーンを指す言葉ではありませんでした。
近年では、生食用のプルーンも "prune" と呼ばれることが増えています。
日本スモモ (Japanese plum): Prunus salicina
ソルダムや大石早生などの品種が含まれます。
果実は西洋スモモよりも小さく、酸味が強いものが多く、生食のほか、梅干しや梅酒のように加工して楽しまれることもあります。
apricot が指す植物の種類
apricot は、日本語では「アンズ」と訳されます。
アンズは、バラ科サクラ属の植物です。
アンズは、かつてはアンズ属 (Armeniaca) に分類されていましたが、現在ではサクラ属 (Prunus) に統合されています。
サクラ属には、アンズの他に、ウメ、モモ、サクラ、スモモなどが含まれます。
果実は、生食のほか、ジャムやドライフルーツなどに加工されます。
ウメについて
ウメ (Prunus mume) は、バラ科サクラ属の果樹です。英語では Japanese apricot と呼ばれることがありますが、アンズとは異なる植物です。
日本語では、ウメとアンズは明確に区別されています。しかし、英語では、 apricot という単語が、アンズだけでなくウメも含む広い意味で使われることがあります。
これは、英語圏では、ウメがあまり馴染みのない果物であるため、より一般的な言葉である「apricot」を使って説明することがあるためです。
植物学的には、ウメはバラ科サクラ属、アンズはバラ科アンズ属に属し、異なる種類として分類されています。
ウメとアンズは、果実の形状や食味が似ていますが、利用方法や生育環境などが異なります。
例えば、ウメは梅干しや梅酒に、アンズはアプリコットジャムやドライアプリコットなどに利用されます。
このように、ウメとアンズは、英語では apricot という共通の単語で呼ばれることもありますが、厳密には異なる種類です。
ウメの英名
ウメの英名には複数の表現があり、文脈によって使い分けられます。
Japanese apricot:
最も一般的な英名です。
ウメが日本原産であることを強調するニュアンスがあります。
学名 "Prunus mume" にも apricot (アンズ) が含まれています。
Chinese plum:
中国原産とみなされていた時期に使われた英名です。
現在では Japanese apricot が一般的ですが、この表現も誤りではありません。
plum blossom:
花を指す場合に用いられることがあります。
ウメの花は plum (スモモ) の花に似ていることから、この表現が使われます。
梅をplumと表現することは、plum blossom の一部として使われることがあります。
japanese apricot は、より正確で一般的な表現です。
スモモ、プラム、アンズ、ウメ、モモの系統関係
スモモ、プラム、アンズ、ウメ、モモは、すべてバラ科の植物で、サクラ属(Prunus属)に分類されます。これらの植物は、見た目や食味、栽培方法など、多くの共通点を持っていますが、それぞれ異なる特徴も持っています。
系統関係についてですが、分子系統学的な研究により、これらの植物の進化的な関係が明らかになってきています。
モモ:
モモは、スモモ亜属のモモ節に属し、最も古いグループに位置づけられています。
ウメ:
ウメは、スモモ亜属のアンズ節に属し、モモの次に古いグループに位置づけられています。
アンズ:
アンズも、ウメと同じくアンズ節に属しています。
スモモ:
スモモは、スモモ亜属のスモモ節に属し、比較的新しいグループに位置づけられています。
プラム:
プラムは、スモモと非常に近縁で、スモモ節に含まれることもあります。
これらの植物は、互いに交雑することができ、多くの園芸品種が育成されています。
例えば、スモモとプラムの交雑種である「プルーン」や、ウメとスモモの交雑種である「サンタローザ」などが知られています。また、「豊後梅」は、ウメとアンズの自然交雑種と考えられています。
まとめ
plum はサクラ属の果樹であるスモモの英語名の一つで、apricot は同じくサクラ属の果樹であるアンズを指します。 ウメもサクラ属の果樹で、英語では Japanese apricot と呼ばれることがありますが、アンズとは異なる植物です。
- 分類: ウメ、アンズ、スモモは、いずれもバラ科サクラ属に分類されます。
- 英語名: plum はスモモの英語名の一つであり、apricot はアンズの英語名です。
- ウメ: ウメは英語で Japanese apricot と呼ばれることがありますが、アンズとは異なる植物です。
従来、ウメはアンズ属、スモモはスモモ属に分類されていました。しかし、近年の研究により、これらはサクラ属に統合されました。
Japanese apricot という英語名は、ウメがアンズに似ていることから使われるようになったと考えられます。しかし、実際には異なる植物であることを理解しておく必要があります。
興味深いですよ!「スモモ(plum)」「アンズ(apricot)」「ウメ(Japanese apricot)」。




