当「生き物たちにまつわる言葉を深掘り」の過去記事に、「蛇の目」をテーマにしたものがあります。
この「蛇の目」をテーマにした過去記事で、以下のように「眼状紋(目玉模様)」について記載しました。
ヘビの目玉のような模様は様々な生物で見られます。その一部は擬態や警告色などとの関係が考えられ、総じて眼状紋(俗称:目玉模様)と呼ばれます。
様ざまな生物でみることのできる眼状紋(俗称:目玉模様)は、擬態という進化のひとつの結論であるならば、その効力とはいったいどんなものなのでしょう?
そこで、「眼状紋(俗称:目玉模様)」をテーマに、今回は「生き物にまつわる言葉を深掘り」してみます。
眼状紋とは?
眼状紋とは、動物の体に見られる目玉のような模様のことです。特に、同心円状の模様で、中心部が濃く、周辺が薄い色になっているものが一般的です。俗称としては目玉模様もよく使われます。
【ウラナミシジミ 頭の反対側に眼状斑・そのそばには触角状の突起まである】
目玉のような模様とひと口に言っても、蛇の目紋のような単純な模様は、動物の体表のには大小様々な例がある。眼状紋(俗称:目玉模様)と呼ばれるのは、その動物の体に対して比較的大きくて目を引くものを指し、また左右に対をなして存在するものが多い。
眼状紋の役割
眼状紋は、動物が生き残るために進化してきたと考えられる重要な特徴です。主な役割としては以下のものが挙げられます。
- 捕食者への威嚇:
捕食者に、自分よりも大きな動物だと見せかけたり、恐怖感を与えることで、攻撃を避ける効果があります。特に、頭部や胴体など、致命的な攻撃を受けやすい部分に眼状紋があることが多いです。 - 注意の分散:
捕食者の攻撃を、眼状紋のある部分に集中させることで、致命的な部分を守ることができます。
例えば、チョウの翅にある眼状紋は、鳥などの捕食者の攻撃を翅に集中させ、胴体を守ります。
- 仲間とのコミュニケーション:
一部の動物では、仲間同士のコミュニケーション手段として利用されている可能性も考えられています。- チョウの求愛: 一部のチョウでは、翅の眼状紋の大きさや色合いが、異性へのアピールや同性への威嚇に使われることがあります。例えば、オスが大きな眼状紋を持つことで、メスへの魅力を高めたり、他のオスとの競争に有利になったりすることが考えられています。
- 魚類の群れ行動: 群れを作る魚の中には、体側の眼状紋を同期させて動かすことで、群れのまとまりを保ったり、危険を知らせるシグナルとして利用したりする種もいます。
- 昆虫の擬態: 一部の昆虫は、眼状紋を擬態に利用することで、仲間を認識したり、特定の行動を誘発したりします。例えば、アリに擬態する昆虫の中には、眼状紋をアリの顔のように見せることで、他のアリを欺き、巣に侵入することができる種もいます。
眼状紋が見られる動物
眼状紋は、昆虫(チョウ、ガなど)、魚類、両生類、爬虫類など、様々な動物に見られます。
- 昆虫: 蝶、蛾、バッタなど
- 魚類: チョウチョウウオ、フグなど
- 両生類: カエルなど
- 爬虫類: ヘビ、トカゲなど
虎耳状斑は眼状紋?
虎耳状斑と眼状紋、どちらも動物の体に見られる特徴的な模様です。虎耳状斑は多くのネコ科動物の耳の裏にある白い斑点模様のこと。
英語では特にネコ科だけ区別されることなく、蝶や魚などにある目玉模様と同じ "眼状紋 ( eyespot 又は ocellus )"の名称で呼ばれている。
虎耳状斑の役割
- 虎耳状斑
ネコ科動物の耳の裏にある白い斑点模様のことです。
主にネコ科動物に見られ、イエネコには通常見られないため、野生のネコとイエネコを区別する特徴の一つとして知られています。
子どもが母親の後からついてくるときの目印となったり、後方への威嚇の役割があると考えられています。
群れで暮らすライオンの場合、狩りのときのコミュニケーションに役立っている可能性もあります。
このようなことから、虎耳状斑は、ネコ科動物に特化した眼状紋の一種と言えるでしょう。
眼状紋の進化
眼状紋がどのように進化してきたのかは、まだ完全には解明されていません。しかし、捕食者からの攻撃を避けるための適応進化であると考えられています。
眼状紋の種類
眼状紋には、様々な種類があります。
- シンプルな眼状紋: 同心円状のシンプルな模様
- 複雑な眼状紋: 複数の眼状紋が組み合わさったものや、毛や鱗で装飾されたもの
- 擬態的な眼状紋: 周囲の環境に合わせた擬態的な模様
まとめ
眼状紋は、動物の体に見られる目玉のような模様で、捕食者から身を守るための重要な役割を果たしています。様々な動物に見られ、その形状や配置は多様です。
興味深いですよ!「眼状紋」「目玉模様」。