日常のニュースなどで耳にする機会が多い「改竄(かいざん)」という言葉。
特に「悪用するために、勝手に文書などの字句を直すこと」という、重大な不正行為を指す熟語です。
しかし、この「改竄」という言葉の「竄」という漢字をよく見ると、なんと「鼠(ねずみ)」の文字が隠れていることに気がつきます。
なぜ、文書を不正に書き換えるという意味の言葉に、ネズミという生き物が引用されているのでしょうか?
その語源を深掘りすることで、日本語の奥深さと、当時の人々のネズミに対するイメージが見えてきます。
この記事では、「改竄」の由来等を深掘りリサーチし、その結果を詳しくご紹介します。
「竄」の漢字が持つ、ネズミのイメージ

「改竄」の「竄」という漢字は、常用漢字ではないため、一般的には「改ざん」とひらがなで表記されることが多いです。
しかし、この漢字を分解してみると、上部に「穴」、下部に「鼠」という二つの要素から成り立っていることがわかります。
1. 「穴」に「鼠」が入るという本来の意味
「竄」の元々の意味は、まさにネズミが巣穴に入り込む様子を表していました。
- 本来の意味:「のがれる」「かくれる」「逃げ込む」
- 類義語:「竄入(ざんにゅう)」(逃げ込む、誤って紛れ込む)、「竄伏(ざんぷく)」(逃げ隠れる)
このように、「竄」という一字には、「穴の中に身を隠す」「人目につかないようにコソコソと動く」といった、ネズミの習性に基づいたイメージが込められています。
2. 「改ざん」に繋がる意味の派生:「コソコソと書き換える」
ネズミが穴に隠れるという動作から、「竄」には「追放する」「放す」といった意味も派生しましたが、「改竄」に関わる最も重要な派生が、「あらためる」「書きかえる」という意味です。
この意味が生まれた背景には、当時の文書訂正の方法が関係しているという説があります。
文書の改ざん行為との結びつき:ネズミが人目につかない場所でコソコソと動くイメージ文書の文字を訂正する際に、もとの字を墨などで黒く塗りつぶして隠す(ネズミが穴に隠れるように)行為特に「悪用するため」という、不正な意図を持った書き換え行為は、「人に見つからないように、こっそりと行う」という点で、ネズミが穴に潜む行動とイメージが重ね合わせられたと考えられます。
「改ざん」と「捏造」「偽造」の違い
「改竄」と同じく、文書に関する不正行為を表す言葉に「捏造(ねつぞう)」や「偽造(ぎぞう)」がありますが、これらもニュアンスが異なります。
- 改竄(かいざん)
- 既存の文書やデータを、悪用するためにこっそり書き換えること。元々あるものを、人目を避けて不正に直す。
- 捏造(ねつぞう)
- 存在しないものや事実を、あたかもあるかのように作り上げること。
- 偽造(ぎぞう)
- 本物そっくりに、一からつくりあげること。
「改竄」は、「穴」に「鼠」が入るように、既存のデータや文書の中にこっそりと入り込み、不正な変更を隠蔽するという、ネズミが持つ「隠密性」や「悪戯(いたずら)好き」なイメージが巧みに引用された熟語なのです。
まとめ:言葉の背後にある生き物の姿
普段何気なく使っている「改竄」という言葉の裏には、「穴にこそこそと隠れるネズミ」という、当時の人々の具体的な生き物のイメージが隠されていました。
「竄」という漢字一つから、「隠れる」から「不正に書き換える」へと意味が派生していった過程を知ることは、日本語の持つ豊かな表現力と、ネズミという小さな生き物に対する文化的な視点を学ぶことにも繋がります。
興味深いですよ!「改竄」。

