今回の「生き物にまつわる言葉を深掘り」のテーマは、「法螺(ほら)」です。
「巻貝の一種としてのホラガイの略」「楽器『法螺貝』の略」「ほら吹き」など、法螺が意味するところについて、以下の目次に沿って深掘りしてみました。
法螺とは?
「法螺(ほら)」という言葉は、大きく分けて以下の2つの意味で使われます。
1. 「法螺貝」の略
1-1.ホラガイ科(旧分類:中腹足目 フジツガイ科)に分類される巻貝の一種
日本産の巻き貝では最大で、殻高30センチ以上になる。貝殻は紡錘形で厚く、殻口が広い。表面は黄褐色の地に黒褐色などの半月斑が並び、光沢がある。ヒトデ類を餌とする。紀伊半島以南の暖海に広く分布。肉は食用。ほら。
1-2.楽器「法螺貝」
大きな巻貝に穴を開けて吹き鳴らす楽器です。
仏教の儀式や行事で使われ、その音色は遠くまで響き渡り、荘厳な雰囲気を醸し出します。
昔は、人々を集めたり、合図を送るために使われていました。
2. 大げさに言うこと、嘘をつくこと
事実と異なることを大きく誇張して話すこと、つまり「ほら吹き」を指します。
根拠のないことや、でたらめなことを言うことも「法螺」と言います。
ホラガイとは?
ホラガイは、日本でも最大級の巻き貝の一種で、その美しい模様と大きな殻が特徴です。
ホラガイ(法螺貝、学名 Charonia tritonis、英: Triton's trumpet)は、ホラガイ科(旧分類:中腹足目 フジツガイ科)に分類される巻貝の一種。日本産の巻貝では最大級の種類で、身は食用とされ、貝殻は楽器として使用される。
近縁種にボウシュウボラ(学名 Charonia lampas sauliae)、ナンカイボラ(学名 Charonia sauliae macilenta)があり、流通上は区別されずにホラガイと呼ばれることが多い。
分布:紀伊半島以南の西太平洋、インド洋に広く分布。日本では、紀伊半島、八丈島以南に分布する。
【音を出せるよう加工されたホラガイの貝殻】
【法螺貝を持つ山伏(金峯山寺)】
「ホラガイ」という名前の由来
「ホラガイ」という名前の由来について、いくつかの説があります。
- 法螺(ほうら)説: ホラガイは、仏教の法要などで使われる楽器として知られています。この楽器を「法螺貝」と呼び、その音は遠くまで響き渡るとされています。この「法螺」という言葉が、ホラガイの名前の由来になったという説が有力です。
- 形状から: ホラガイの殻は大きく、中に空洞があることから「ほら穴」のように空洞になっている貝、という意味で「ホラガイ」と呼ばれるようになったという説もあります。
どちらの説が正しいのか断定することは難しいですが、 仏教との深い関わりや、その形状の特徴から、上記の説が有力視されています。
そもそも「法螺」という言葉の意味: 法螺は、本来は梵語の言葉で、仏教においては釈迦の説法が遠くまで響くことをたとえる言葉として用いられます。
ホラガイの特徴
- 大きさ: 殻高が40cmを超える個体もおり、日本産の巻貝の中では最大級です。
- 形状: 殻は卵円錐形で、上方は尖り、下方は大きく膨らんでいます。
- 模様: 殻の表面には太く低い螺肋があり、褐色、紅色、白色等の三日月から半月状の斑紋が交互に現れ、ヤマドリの羽のような美しい模様をしています。
ホラガイの用途:
- 食用: 身は食用とされ、美味です。
- 楽器: 貝殻の殻頂を切り、吹き口をつけて吹奏する楽器としても使用されます。世界各地でおもに信号、合図に用いられ、日本では修験者が山中で猛獣を追い払うために吹いたり、法会や戦陣における合図などに用いられました。
仏教においては諸神を呼ぶための法具とされており、その澄んだ音色は遠くまで響き渡るとされています。 - 装飾品: 美しい貝殻は装飾品としても利用されます。
ホラガイの生態
- 分布: 日本をはじめ、インド洋や太平洋の暖かい海に広く分布しています。
- 食性: 他の貝類や甲殻類などを捕食します。
ホラガイ - Wikipedia
※潮間帯下のサンゴ礁や岩礁に生息し、ヒトデ類を好んで食べる。サンゴを食害するオニヒトデを捕食するため「オニヒトデの天敵」とされるが、摂餌頻度が低く生息数も少ないため駆除方法としての実用化には至っていない。 - 生息環境: 浅海の岩礁域に生息しています。
なぜ「法螺」が「ほら吹き」を意味するようになったのか?
法螺貝の音の大きさ:
法螺貝の音は非常に大きく、遠くまで響き渡ります。このことから、「法螺を吹く」という言葉が、大げさに話したり、嘘をついたりする様子を表現するようになったと考えられています。
仏教との関連:
仏教では、法螺貝は仏の教えを広めるための道具として捉えられていました。しかし、中には仏の教えと異なることを大げさに語る人もいたため、「法螺を吹く」という言葉が、誤った教えを広めること、つまり「ほら吹き」という意味に転じていったという説もあります。
「法螺」を使った例文
- 彼はいつも法螺ばかり吹いている。(彼はいつも大げさに嘘をつく。)
- そんな法螺を信じるな。(そんな嘘を信じるな。)
まとめ
「法螺」について、「ホラガイ」「ほら吹き」を中心に、その意味や特徴・用例などについて、深掘りしてみました。
「法螺」という言葉は、仏教の楽器である「法螺貝」に由来し、そこから「大げさに言うこと」「嘘をつくこと」という意味に派生しました。日常会話では、「ほら吹き」という言葉の方がより頻繁に使われます。
興味深いですよ!「法螺」。