私にとってフリッパーという言葉との出会いは、小学生時代に夢中になったTV番組「わんぱくフリッパー!」でした。
その後、中学生になりゲームセンターにあったピンボールのフリッパーを夢中で操作した記憶もあります。
今回の「生き物にまつわる言葉を深掘り」のテーマは、「フリッパー」です。
「フリッパー」の意味や「フリッパー」を戴く言葉の使われ方などについて、以下の目次に沿って深掘りしてみました。
- フリッパーとは?
- ひれ状の足(=Flipper)の持ち主とは?
- フィン(Fin)とフリッパー(Flipper)の違い
- 「潜水・水泳用の足ひれ」としてのフリッパー
- 「気に入る番組を求めて次々にチャンネルを切り替えるテレビ視聴者」としてのフリッパー
- 「フリッパー」の用例
- まとめ
フリッパーとは?
フリッパーは、英語の「flipper」を日本語に訳した言葉です。
flipper の意味
デジタル大辞泉によると、フリッパーの意味は以下のように解説されています。
フリッパー【flipper】
読み方:ふりっぱー1 アザラシなどのひれ足。
2 潜水・水泳用の足ひれ。
3 気に入る番組を求めて次々にチャンネルを切り替えるテレビ視聴者。
また、flipper という単語は、研究社の新英和中辞典には、「ひれ状の足 《海ガメの足・クジラ類の前ひれ・ペンギンの翼・潜水用の足ひれなど》」とあります。
フリッパーは学術用語ではなく英語での俗称であるとのことですので、定義はあいまいでしかるべきなのかもしれませんが、フリッパーが意味している「ひれ足」「ひれ状の足」の対象・範囲を以下で深掘りしてみようと思います。
ひれ状の足(=Flipper)の持ち主とは?
「(四肢が変化した)ひれ状(鰭状)の足」の持ち主として、まず思いつくのは、文字通りの鰭脚類(ききゃく類、ひれあし類)ですね。種名にアザラシ、アシカ、オットセイ、トド、オタリア、セイウチを含む動物たちをあげることができます。
現生の海生哺乳類としては、鰭脚類のほかに、鯨偶蹄目の鯨類(クジラ、イルカ、カワイルカ、イッカク、ベルーガ(シロイルカ))と、海牛目(ジュゴン、マナティー)がメジャーなところ。
海生哺乳類には、上記のほかラッコ・ミナミウミカワウソ・ホッキョクグマがいますが、これらの足は(水かきはあったとしても)ひれ状ではありません。
上記の海生哺乳類に、爬虫類のウミガメと、鳥類のペンギンを加えれば、「(四肢が変化した)ひれ状(鰭状)の足」の持ち主(現生)を網羅できていると考えます。
以下に、「(四肢が変化した)ひれ状(鰭状)の足」の持ち主の分類を示します。
<「(四肢が変化した)ひれ状(鰭状)の足」の持ち主の分類>
- 爬虫類 - ウミガメ
- 鳥類 - ペンギン
- 哺乳類:
- クジラ類(クジラ、イルカ)
- ヒゲクジラ小目
- セミクジラ科 Balaenidae
- ナガスクジラ科 Balaenopteridae
- コククジラ科 Eschrichtiidae
- コセミクジラ科 Neobalaenidae
- ハクジラ小目
- マッコウクジラ科 Physeteridae
- コマッコウ科 Kogiidae
- アカボウクジラ科 Ziphiidae
- インドカワイルカ科 Platanistidae
- ヨウスコウカワイルカ科 Lipotidae(絶滅?)
- アマゾンカワイルカ科 Iniidae
- ラプラタカワイルカ科 Pontoporiidae
- マイルカ科 Delphinidae
- ネズミイルカ科 Phocoenidae
- イッカク科 Monodontidae
- イッカク属 Monodon
- シロイルカ属 Delphinapterus
- ヒゲクジラ小目
- 鰭脚類(アシカ、アザラシ)
- アザラシ上科 Phocoidea
- アザラシ科 Phocidae - 14属19種(うち絶滅1種)
- アシカ上科 Otarioidea
- アシカ科 Otariidae - アシカ、オットセイ、トド、オタリアなど7属15種(うち絶滅1種)
- セイウチ科 Odobenidae - 1属1種
- アザラシ上科 Phocoidea
- 海牛類(ジュゴン、マナティー)
- クジラ類(クジラ、イルカ)
ここまでで、「(四肢が変化した)ひれ状(鰭状)の足」の持ち主は、網羅できたわけですが、これらの動物のどの「ひれ状(鰭状)の足」をフリッパーというのでしょう?
そのあたりを以下で深掘りリサーチしてみます。
フィン(Fin)とフリッパー(Flipper)の違い
鰭(ひれ)のことは、英語で一般的に fin と言います。
fin は、魚だけでなく、他の水生動物や、飛行機などの機械の翼のような部分も指すことがあります。
鰭の種類を表す場合、以下のような言葉が使われます。
- Dorsal fin: 背びれ
- Pectoral fin: 胸びれ
- Pelvic fin: 腹びれ
- Caudal fin: 尾びれ
- Anal fin: 臀びれ
では、いままで深掘りリサーチしてきたflipperとfinは、何が違うのでしょう?
米国のサイト「Pets on Mom.com」には、背びれ(Dorsal Fin)とフリッパーとの違いについて、以下のような記載があります。
The Difference Between a Dorsal Fin & a Flipper | Pets on Mom.com
Since fins and flippers are essentially the same thing, the difference between a dorsal fin and a flipper becomes a matter of location and function.
The word dorsum -- from which dorsal derives -- is Latin for back or ridge, therefore the dorsal fin is located on the back of an animal.
Flipper is the vernacular term for the pectoral fin of fish and certain marine mammals.
(flipper は魚類や特定の海洋哺乳類の胸びれの俗称です。)
It corresponds to the arm and hand of terrestrial animals, although technically, pectoral derives from pectoralis -- which actually means breast or chest -- and is a bit of a misnomer anatomically.
上記の記載には「フリッパーは魚類や特定の海洋哺乳類の胸びれの俗称」との記載があります。
このことから、Pectoral finと呼ばれる魚類の胸ひれについても、フリッパーと呼ぶことがあり、また、「ひれ状(鰭状)の足」についても、主に、前足(ペンギンの場合は翼)のことをフリッパーと呼ぶことがあるのだと推察されます。
すなわち、
- 広義のフリッパー:「魚類の胸ひれや(四肢が変化した)ひれ状(鰭状)の前足・前ひれ・翼」
- 狭義のフリッパー:「(四肢が変化した)ひれ状(鰭状)の前足・前ひれ・翼」
と定義できるのではないでしょうか。
「潜水・水泳用の足ひれ」としてのフリッパー
アマゾンで「足ひれ」を検索すると、確かに「フリッパー」とうキーワードのついた足ひれ商品が散見されます。
潜水・水泳用の足ひれは、一般的にフィン(fin)と呼ばれます。
潜水・水泳用の足ひれをフリッパー(flipper)というのも間違ってはいないですが、一般的には「フィン」が使われているようです。
広義のフリッパーという言葉が、「魚類の胸ひれや(四肢が変化した)ひれ状(鰭状)の前足・前ひれ・翼」と定義づけられることから考えても、ヒトの足に装着する「潜水・水泳用の足ひれ」はフリッパーではなくフィンのほうがしっくりくるような気もします。
「気に入る番組を求めて次々にチャンネルを切り替えるテレビ視聴者」としてのフリッパー
気に入る番組を求めて次々にチャンネルを切り替えるテレビ視聴は、ザッピングというのが一般的です。
テレビ視聴のザッピングとフリッピングの違い
以下に引用しているWikipediaによると、
気に入る番組を求めて次々にチャンネルを切り替えるテレビ視聴がザッピングで、
「ザッピングしながら、特に2つのチャンネルの番組を並行視聴する行動」がフリッピングのど真ん中の意味といえそうです。
ザッピング(zapping)とは、テレビ視聴において、リモコンでチャンネルを頻繁に切り替えながら視聴する行為のことである。
ザッピングが発展した視聴行動にフリッピング(flipping)がある。フリッピングは、アシカ等の前足(flipper)を使った芸の意味である。ここから転じて、二股をかける、どっちつかずという意味を持つアメリカ俗語である。テレビ視聴では、ザッピングしながら2つのチャンネルの番組を並行視聴する行動をさす。転じて、コンピュータゲームでは複数のキャラクターを切り替えながら行動するシステムのことを言う。
「フリッパー」の用例
「ひれ状の前足・前ひれ・翼」の含意による「『フリッパー』の使われ方(用例)」としては、以下があげられます。
<フリッパーの用例>
- ひれ状の前足・前ひれ・翼を模したもの
- ピンボール台の要素、ボールを打ち返す部品。
- ピンボール台の別名。
- フィン - ダイビングで使われる鰭状の用具。
- 釣り具としてのフリッパー:ルアーの一種で、平べったく、独特なアクションで魚を誘います。シーバス釣りなどでよく使用されます。
- 映像作品
- わんぱくフリッパー(原題:Flipper) - 日本でも放送された北米のTVドラマの主人公のバンドウイルカ。
- フリッパー (1963年の映画) - 上記の映画版。
- フリッパー (1996年の映画) - リメイク映画版。
- フリッパー (1996年のテレビシリーズ) - リメイクテレビシリーズ。
ピンボール台の要素、ボールを打ち返す部品
ピンボール台のフリッパーは、プレイヤーが操作してボールを打ち返すための重要な部品です。ゲームの戦略性や楽しさを大きく左右する要素の一つと言えるでしょう。
フリッパーの役割
- ボールの制御: プレイヤーはフリッパーを操作することで、ボールの動きを制御し、狙った場所にボールを誘導します。
- 得点の獲得: 特定のターゲットにボールを打ち込むことで得点を得ることができますが、フリッパーはこのようなアクションを可能にします。
- ゲームの進行: フリッパーは、ボールを特定の場所に導いて特別な機能を起動させたり、ゲームのステージを進めるための役割も担っています。
フリッパーの種類と仕組み
フリッパーには、主に以下の2つの種類があります。
- メカニカル式: ばねと電磁石の力で動作する古典的なタイプです。
- 電子式: マイクロスイッチやソレノイドを使ったより現代的なタイプです。
メカニカル式は、古くからのピンボールマシンによく見られ、独特の操作感があります。電磁石に電流が流れると、ばねが縮み、フリッパーが上昇します。電流が切れると、ばねの力でフリッパーが元の位置に戻ります。
電子式は、より精密な制御が可能で、複雑な動きや連動動作を実現できます。マイクロスイッチでフリッパーの状態を検知し、ソレノイドによってフリッパーを動かす仕組みです。
フリッパーの配置と戦略
フリッパーは、ピンボール台の様々な場所に配置されており、その配置によってゲームの難易度や戦略性が変化します。プレイヤーは、フリッパーの配置を把握し、ボールの動きを予測しながら、最適なタイミングでフリッパーを操作する必要があります。
釣り具としてのフリッパー
釣り具としての「フリッパー」は、釣り具の中でも特にフラットフィッシュ(ヒラメ、マゴチなど)を狙う際に非常に効果的なルアーの一つです。
その独特な形状とアクションが、これらの魚たちの捕食本能を刺激し、高い釣果をもたらします。
フリッパーの特徴
- フラットな形状: 平べったい形状が特徴で、海底に這いつくばるフラットフィッシュにとって、まるで本物の小魚のように見えるため、高いアピール力があります。
- アピール力の高いアクション: リールを巻く速度やロッドアクションによって、様々なアクションを生み出すことができます。ウォブリング(左右に振動)、ローリング(回転)、ダートアクションなど、多様な動きで魚を誘います。
- 様々なサイズとウェイト: 水深やターゲットのサイズに合わせて、様々なサイズとウェイトのフリッパーを選ぶことができます。
フリッパーの選び方
フリッパーを選ぶ際には、以下の点に注意しましょう。
- ターゲット魚種: ヒラメ、マゴチなど、狙う魚種によって最適なサイズや形状が異なります。
- フィールド: 河口、サーフなど、釣行するフィールドの水深や海底の状況に合わせて選びましょう。
- 潮汐: 潮の流れが速い場所では、重めのフリッパーが有効です。
- カラー: 水の色や天候によって、魚の反応が変わるため、様々なカラーを揃えておくと良いでしょう。
フリッパーの使い方
- キャスト: 遠投性能が高いスピニングタックルを使用し、遠くにキャストします。
- リトリーブ: リールをゆっくりと巻いて、フリッパーを海底付近を這わせるようにアクションさせます。
- フォール: リールを止めると、フリッパーはゆっくりと海底に沈んでいきます。このフォール中にアタリが出ることも多いです。
フリッパーを使った釣り方
- ボトムズル引き: 底をズル引きすることで、海底に潜んでいるフラットフィッシュにアピールします。
- ジャーク&フォール: ジャークでフリッパーを跳ね上げ、フォールでゆっくりと沈ませる動作を繰り返します。
- スローリトリーブ: ゆっくりとしたリトリーブで、フリッパーを漂わせるように動かします。
フリッパーのメリット
- 高実績: フラットフィッシュに対して高い実績があります。
- 多様なアクション: 様々なアクションで魚を誘うことができます。
- 遠投性: 遠くにキャストできるため、広範囲を探ることができます。
このようにルアーの一種であるフリッパーは、フラットフィッシュを狙うアングラーにとって、非常に魅力的なルアーです。その特徴や使い方を理解し、様々な状況に合わせて使いこなすことで、より多くの魚をキャッチすることができます。
映像作品「わんぱくフリッパー」
わんぱくフリッパー(原題:Flipper)は、- 日本でも放送された北米のTVドラマです。主人公のバンドウイルカの名が「フリッパー」でした。
「フリッパー」というタイトルのテレビ番組は、1960年代にアメリカで大人気を博した、イルカを主人公にした自然ドラマです。 日本でも放送され、多くの子供たちに愛されました。
わんぱくフリッパーのあらすじと魅力
このドラマは、フロリダ州のキービスキャナバーラルにある海洋研究所を舞台に、イルカのフリッパーと少年の冒険を描いています。知的で心優しいフリッパーは、少年たちと深い絆を築き、様々な困難を乗り越えていきます。
ドラマの魅力
イルカの可愛らしさ: 賢くて感情豊かなイルカのフリッパーの行動は、多くの人々を魅了しました。
自然との共存: 美しい自然の中で繰り広げられる物語は、環境問題への関心を高めるきっかけにもなりました。
友情と冒険: 少年たちとフリッパーの友情や、様々な冒険は、子供たちの心を掴みました。
フリッパーのその後
「フリッパー」は、その後も何度かリメイクされ、映画やテレビシリーズとして生まれ変わってきました。しかし、オリジナルの持つ温かみや魅力は、今もなお多くの人の心に残り続けています。
まとめ
「フリッパー」の意味や「フリッパー」を戴く言葉の使われ方などについて、深掘りしてみました。
リアルにボールを扱うピンボールゲームも最近は見なくなりました。また、水泳・潜水用の足ひれは「フィン」と呼ぶのが一般的です。
アマゾンで「フリッパー」を検索すると、釣り具(ルアー)としてのフリッパーがずらっと並んでいました。
興味深いですよ!「フリッパー」。