購買プロセスやカスタマージャーニーをモデル(=購買行動モデル)化するために、これまでにさまざまなフレームワークが提唱されてきました。
以下に、AIDMA, AISAS, SIPS, そして多様に解釈されるREACTについて、それぞれの意味・背景・活用領域を詳しくみていきましょう。

- AIDMA(アイドマ)
- AISAS(アイサス)
- SIPS(シップス)
- REACT(リアクト)
- REACTモデル(その1):Recommend型
- REACTモデル(その2):BtoB共創型
- 各モデルの適用比較(簡略)
AIDMA(アイドマ)
◉ 概要
1920年代にアメリカの広告学者サミュエル・ローランド・ホールが提唱した 購買意思決定プロセスの古典的モデル 。
◉ 段階
| ステップ | 意味 |
|---|---|
| A - Attention | 注意をひく |
| I - Interest | 興味を持つ |
| D - Desire | 欲しいと思う |
| M - Memory | 記憶する |
| A - Action | 購買する |
◉ 特徴
- 主に マス広告やリアル店舗 を前提としたモデル。
- 「記憶してから購入」という点が現在の購買行動とはやや異なる。
AISAS(アイサス)
◉ 概要
2004年に電通が提唱。 インターネット時代の消費行動モデル 。
◉ 段階
| ステップ | 意味 |
|---|---|
| A - Attention | 注意をひく |
| I - Interest | 興味を持つ |
| S - Search | 検索する |
| A - Action | 購買などの行動 |
| S - Share | 共有・発信する |
◉ 特徴
- 検索(Search) と 共有(Share)が特徴。
- ユーザーが能動的に情報を取得・発信 するという時代背景を反映。
SIPS(シップス)
◉ 概要
ソーシャルメディアの普及を背景に、電通が2011年に提唱。 共感重視の消費行動モデル 。
◉ 段階
| ステップ | 意味 |
|---|---|
| S - Sympathize | 共感する |
| I - Identify | 確認・検討する |
| P - Participate | 参加する・購買する |
| S - Share | 発信・共有する |
◉ 特徴
- 「共感」から始まり、「共有」で終わる。
- コミュニティやファンベースのマーケティングに適している。
REACT(リアクト)
実は「REACT」モデルには 複数のバリエーション が存在し、文脈(BtoB、共創、DX、マーケティング、パーソナライズドAIなど)によって解釈が異なる場合があります。
REACTモデル(その1):Recommend型
◉ 概要
AIの台頭で、購買行動は 「自分で探す」から「AIにレコメンドされる」へ 変化しています。AIが介在するので、人が「検索する」段階が減り、代わりにAIが最適な選択肢を提示する。そこに「共感」や「体験価値」を紐づけて、またAIが学ぶ。
つまり「人の探す手間をAIが肩代わりし、ファンの声がAIに学習されてまた次の推薦が磨かれる」循環です。
◉ 想定される段階
| ステップ | 意味(想定) |
|---|---|
| R - Recommend | 推奨・レコメンド(AIや営業などから提案) |
| E - Evaluate | 評価・検討(比較・判断) |
| A - Act | 行動・実行(購入・契約・導入) |
| C - Co-create | 共創・協業(パートナーシップや改善活動) |
| T - Trust | 信頼関係の構築・維持 |
[このバージョンの REACTモデルは、主にBtoB領域やサブスクリプション・SaaSなどの顧客関係構築重視のビジネス で用いられることがあります。
特に、
- 「Recommend」→ AIや営業のパーソナライズされた提案
- 「Co-create」→ 共有や意見投稿で共創、ユーザー参加型の開発・改善
- 「Trust」→ 次のAI学習に反映、LTVや継続率につながる信頼の蓄積
という文脈が強くなります。
REACTモデル(その2):BtoB共創型
◉ 概要
主に BtoBや共創型ビジネス における意思決定モデルとして提案される新しい概念。正式な学術モデルではなく、企業や団体が提唱するケースが多い。
◉ 想定される段階
| ステップ | 意味(想定) |
|---|---|
| R - Recognize | 課題を認識する(気づき) |
| E - Engage | 関与・関心を持つ |
| A - Analyze | 分析・検討する |
| C - Collaborate | 共創・協業する |
| T - Transform | 変革(行動・導入)する |
◉ 特徴
- 単なる購買行動ではなく、 協業や共創を重視 。
- 共創型PoC(概念実証)やM&A前段階 のプロセスにも応用可能。
各モデルの適用比較(簡略)
| モデル名 | 主な領域 | 特徴 |
|---|---|---|
| AIDMA | マス広告時代 | 受動的な購買モデル |
| AISAS | Web時代 | 検索・共有の導入 |
| SIPS | SNS時代 | 共感と参加を重視 |
| REACT:Recommend型 | AI推奨型 | 共感や体験価値をまたAIが学び、推奨する循環 |
| REACT:BtoB共創型 | BtoB・共創 | 課題認識〜共創まで含む イノベーション/組織変革系 |