今回の「生き物にまつわる言葉を深掘り」のテーマは「鸛」です。
「鸛」を「生き物にまつわる言葉」として深掘りリサーチし、以下の目次に沿ってまとめてレポートします。
- 鸛の意味と特徴
- 鸛の語源
- 鸛の用例
- 鸛に関連する情報
- 和名を漢字表記した場合に、「鸛」が用いられる動物の種名は?
- ハシビロコウ(嘴広鸛)は和名を漢字表記すると「鸛」がつきますが、ハシビロコウはコウノトリの仲間ですか?
- 「夕鶴」や「鶴の恩返し」にでてくるツルの種名は?
- まとめ
鸛の意味と特徴
鸛(コウノトリ)について詳しく解説します。
鸛 は、コウノトリ科に属する鳥の総称、またはその一種を指す漢字です。
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特徴: 大きな体と長い脚、そして特徴的なクチバシが特徴です。全身が白く、翼の先端とクチバシが黒い種類が多いです。
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生態: 水辺や湿地などに生息し、魚やカエルなどを捕食します。大きな巣を樹上などに作り、一夫一婦で子育てを行います。
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象徴: 世界各地で、コウノトリは幸運や子孫繁栄の象徴として捉えられてきました。特にヨーロッパでは、赤ちゃんを運んでくる鳥として広く知られています。
コウノトリ(鸛、Ciconia boyciana)は、鳥綱コウノトリ目コウノトリ科コウノトリ属に分類される鳥類。分類
以前はC. ciconia(現:ヨーロッパコウノトリ)およびその亜種C. c. boycianaの和名がコウノトリとされていた。ヨーロッパコウノトリとの間に雑種ができるため亜種とする説もあったが、DNA交雑法では別種とされた。広義のコウノトリは、コウノトリ亜科に属する鳥類の総称である。ヨーロッパとアフリカ北部には、狭義のコウノトリの近縁種であるシュバシコウCiconia ciconiaが棲息している。羽色は似ているが、クチバシは赤。こちらは数十万羽と多く、安泰である。「コウノトリが赤ん坊を運んでくる」などの伝承は、シュバシコウについて語られたものである。シュバシコウとコウノトリとの間では2代雑種までできているので、両者を同一種とする意見も有力である。この場合は学名が、シュバシコウはCiconia ciconia ciconia、コウノトリはCiconia ciconia boycianaになる。コウノトリの郷公園で人工繁殖され飼育されているコウノトリ達。公開ケージには給餌目当てにアオサギ、ダイサギ、チュウサギ、そして放鳥・野生コウノトリ達が集まってくることがある。
鸛の語源
鸛の語源は、はっきりとは解明されていません。
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説1: 鳴き声から: コウノトリの鳴き声から名付けられたという説があります。
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説2: 外見から: 大きな体と長い脚など、その特徴的な外見から名付けられたという説もあります。
鸛の用例
文学作品: 古今東西の文学作品で、コウノトリはしばしば登場します。例えば、グリム童話にはコウノトリが登場するお話があります。
- ことわざ: 「コウノトリが赤ちゃんを運んでくる」など、コウノトリにまつわることわざは、世界各地に数多く存在します。
- 商品名: コウノトリをモチーフにした商品名も数多く見られます。例えば、日本酒の名前として「コウノトリ」が使われることもあります。
鸛に関連する情報
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コウノトリの保護: 一部の地域では、コウノトリの生息数が減少しており、保護活動が行われています。
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コウノトリ伝説: 各地で、コウノトリにまつわる様々な伝説が語り継がれています。
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コウノトリの文化的な役割: コウノトリは、様々な文化の中で、重要な役割を担ってきました。
鸛は、その美しい姿と、幸運の象徴としての役割から、古くから人々に愛されてきた鳥です。文学作品やことわざなど、様々な形で私たちの文化に根付いています。
和名を漢字表記した場合に、「鸛」が用いられる動物の種名は?
「鸛」という漢字が和名に用いられる動物は、一般的にはコウノトリ科の鳥を指します。
コウノトリ科の代表的な種
コウノトリ(鸛、Ciconia boyciana)
日本でもかつては広く生息していた大型の鳥で、現在では保護活動が進められています。
シュバシコウ(Ciconia ciconia、朱嘴鸛)
シュバシコウ (Ciconia ciconia、朱嘴鸛) は、鳥綱コウノトリ目コウノトリ科コウノトリ属に分類される鳥類。分布:ヨーロッパや北アフリカ、中近東に分布する。繁殖地は主にヨーロッパと中央アジア。特にポーランドは他を圧倒する世界最大の繁殖地で、2004年の調査で確認された全世界約23万のペアのうち約4分の1に当たる52500ペアがポーランド国内で繁殖[3]、夏のポーランド湖水地方の田舎は木々も家々の煙突も電柱も、あらゆる高い場所がコウノトリの巣だらけになる。分類:以前は本種およびその亜種C. c. boyciana(旧コウノトリの基亜種C. c. ciconiaと亜種C. c. boycianaの間に亜種間雑種ができるため、亜種とする説もあった。)の和名が、コウノトリとされていた。DNA交雑法では別種C. boycianaとされた。伝承その他
高い塔や屋根に営巣し雌雄で抱卵、子育てをする習性からヨーロッパでは赤ん坊や幸福を運ぶ鳥として親しまれている。このことから欧米には「シュバシコウが赤ん坊をくちばしに下げて運んでくる」または「シュバシコウが住み着く家には幸福が訪れる」という言い伝えが広く伝えられている。日本でもこのため「コウノトリが赤ん坊をもたらす」と言われることがある。
ナベコウ(鍋鸛、Ciconia nigra)
ナベコウ(鍋鸛、Ciconia nigra)は、鳥綱コウノトリ目コウノトリ科コウノトリ属に分類される鳥類。
分布
アフリカ大陸やユーラシア大陸に分布し、アフリカ大陸南部やユーラシア大陸の中緯度地域で繁殖する。冬季になると越冬のためアフリカ大陸中部やユーラシア大陸南部へ渡る。南アフリカの北部では留鳥として周年生息する。日本では冬季にまれに飛来した例(まれな冬鳥もしくは迷鳥)がある。
セイタカコウ:(背高鸛、学名:Ephippiorhynchus asiaticus)
セイタカコウは、コウノトリ目コウノトリ科に分類される鳥類の一種。アフリカに生息する大型のコウノトリで、長い脚が特徴です。
アフリカハゲコウ(阿弗利加禿鸛、Leptoptilos crumeniferus)
アフリカに生息する大型のコウノトリで、頭部に羽毛がほとんどなく、大きな喉袋を持っています。
アフリカハゲコウ(阿弗利加禿鸛、Leptoptilos crumeniferus)は、コウノトリ科の大型渉禽類の一種。原産地は、和名のとおりアフリカである。
英語名のマラブー (marabou) は、直接にはフランス語のマラブー (marabout) を狭義に借用したものであるが、そもそもはアラビア語 (murābiṭ) を起源とし、ムスリムの聖者や隠者とその墓、そしてそこに集まる神聖な鳥を意味していた。
分布
サハラ砂漠以南のアフリカ全域に生息。水辺でも内陸でも活動し、人間の居住地域近辺(とくにゴミ捨て場)でもふつうに見られる。
エンビコウ(燕尾鸛、学名:Ciconia maguari)
エンビコウは、アジア南部に生息するコウノトリで、細長いクチバシが特徴です。
エンビコウは、コウノトリ目コウノトリ科に分類される鳥類の一種である。別名シロエンビコウ。
分布
アンデス山脈東側の南アメリカ(コロンビア、ベネズエラからアルゼンチン中部まで)に分布する。
コウノトリ科以外の「鸛」を含む鳥の例
「鸛」の漢字は、コウノトリ科の鳥以外にも、以下のような場合に用いられることがあります。
- 古語: 古代日本語では、コウノトリ科以外の鳥を指す場合にも「鸛」が使われていた可能性があります。
- 文学作品: 詩歌や物語などでは、コウノトリ科以外の鳥を象徴的に「鸛」と表現することがあります。
ペリカン目の鳥:
- ハシビロコウ:(←後述)
「鸛」という漢字は、一般的にはコウノトリ科の鳥を指しますが、文脈によって異なる意味を持つことがあります。
ハシビロコウ(嘴広鸛)は和名を漢字表記すると「鸛」がつきますが、ハシビロコウはコウノトリの仲間ですか?
ハシビロコウの和名に「鸛」の字が使われていることから、コウノトリの仲間と誤解されることも多いですが、実はそうではありません。
ハシビロコウは、かつてはコウノトリ科に分類されていましたが、最近のDNA解析の結果、ペリカン科に近縁であることがわかり、現在はハシビロコウ科に分類されています。
なぜ「鸛」の字が使われるのか?
- 外見の類似性: ハシビロコウは、大きな体や長い脚など、コウノトリと似た外見を持っています。
- 過去の分類: 以前はコウノトリ科に分類されていたため、「鸛」の字が定着してしまったと考えられます。
ハシビロコウとコウノトリの違い
ハシビロコウとコウノトリとの違いを一覧表にします。
ハシビロコウとコウノトリの違い
特徴 | ハシビロコウ 嘴広鸛 | コウノトリ 鸛 |
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科 | ハシビロコウ科 | コウノトリ科 |
近縁の動物 | ペリカン | コウノトリ、サギ |
生態 | 湿地帯に生息し、魚を主食とする | 水辺や湿地に生息し、魚やカエルなどを捕食する |
特徴的な行動 | じっと動かずに獲物を待ち伏せる | 巣作りや子育てに協力する |
ハシビロコウは、外見がコウノトリに似ているため「鸛」の字が使われていますが、分類学的には全く異なる種類の鳥です。DNA解析などの研究が進み、ハシビロコウの分類は変化してきました。
ハシビロコウを私が撮影した人気動画は、こちらのページに一覧リンクがあります。
「夕鶴」や「鶴の恩返し」にでてくるツルの種名は?
夕鶴や「鶴の恩返し」に登場するツルの種名については、明確な科学的な根拠に基づいた特定は困難です。
これらの物語は、古くから人々の間で語り継がれてきた民話であり、物語に登場するツルは、必ずしも現実の特定の種のツルを指しているとは限りません。
なぜ特定の種を特定できないのか
- 物語としての表現: 物語の中では、ツルは美しい姿や特別な能力を持つ象徴的な存在として描かれることが多く、現実のツルの特徴を正確に反映しているとは限りません。
- 多様なツル: 日本には、タンチョウヅル以外にも様々な種類のツルが生息しており、物語に登場するツルは、それらのツルが混ざり合ってイメージされた可能性があります。
- 地域差: 物語が伝わる地域によって、登場するツルのイメージは異なっていた可能性があります。
なぜコウノトリ説が浮上するのか
- 松の上にとまる: 物語に登場するツルが松の上にとまる描写があることから、実際に松の上にとまる習性を持つコウノトリがモデルになったという説が考えられます。
- 幸運の象徴: コウノトリは、世界各地で幸運や子孫繁栄の象徴とされており、ツルも同様に吉祥の象徴とされてきたことから、両者が混同された可能性があります。
「夕鶴」や「鶴の恩返し」に登場するツルは、特定の種を特定することは困難ですが、物語の中で大切にされてきた象徴的な存在であることは間違いありません。
これらの物語をより深く楽しむためには、様々な角度から考察し、自分なりの解釈を見つけることが大切です。
結論としては、夕鶴やツルの恩返しのツルがどちらの鳥であったかは、現時点では断定できません。しかし、コウノトリであった可能性が高いという説は、これらの物語をより深く理解する上で一つの視点となるでしょう。
まとめ
このように、「鸛」についてリサーチしまとめてみました。
今回の記事執筆にあたり、コウノトリについていろいろ調べてみたところ、コウノトリの異名に、「こう‐づる【鸛鶴】」があることを知りました。またペリカンは「鵜」と書いていたこともあったようで、「鸛」「鶴」「鵜」などは今の分類からすると使用法・意味は混沌としていたのだと感じます。
興味深いですよ!「鸛(コウノトリ)」。