今回の「生き物にまつわる言葉を深掘り」のテーマは「鵠」です。
「鵠」を「生き物にまつわる言葉」として深掘りリサーチし、以下の目次に沿ってまとめてレポートします。
「鵠」という漢字は、その美しい響きと奥深い意味から、古くから人々に愛されてきた漢字です。読み方によって、様々な意味を持ち、その用途も多岐にわたります。
鵠の解説 - 日本漢字能力検定協会 漢字ペディア
鵠
部首:鳥 (とり)
画数:18(部首内画数:7)
音読み:コウ・ コク
訓読み:くぐい・ まと・ しろい意味:①くぐい。大形の水鳥。白鳥。「鴻鵠(コウコク)」 ②まと。的の中心。「鵠的」 ③しろい。白くする。 ④正しい。あきらか。 ⑤大きい。
鵠(くぐい、こく)の読み方ごとの意味、語源・由来、用例について以下にまとめます。
鵠(くぐい)
意味:
倭言葉(やまとことば)で白鳥のことを「くぐひ」といい、鵠の漢字が当てられた。
その優雅な姿から、高貴なものの象徴とされ、古くから詩歌に詠まれてきました。
ハクチョウ(白鳥、swan)とは、カモ科の7種の水鳥の総称。
シベリアやオホーツク海沿岸で繁殖し、冬季は温暖な日本などへの渡りをおこない越冬する大型の渡り鳥である。
現生の空を飛ぶ鳥の中では最大級の重量を有している。
おとなしいイメージもあるが、子育て中の野生個体は警戒心が強くなっており、雛を捕まえようとした人間を追い払う例も報告されている。
日本語のハクチョウは、文字通り「白い鳥」という意味だが、名称に反してハクチョウ属には「黒い鳥」である「コクチョウ」も存在する。
寿命は野生で最長20年ほど、飼育状態では20年から30年ほどである。
日本におけるハクチョウ
現在は「白鳥」という漢名が一般的だが、「くぐい(鵠)」の古称をもち、「日本書紀」垂仁天皇の条などに記載がある。ヤマトタケルは、死後に白鳥になったという伝承があり、日本では古くから親しまれている鳥である。
日本にはオオハクチョウとコハクチョウが越冬のために渡ってきて、北海道や本州の湖沼、河川等で過ごす。晩秋から初冬に渡来し、春には飛去する。
青森県・島根県・東京都千代田区・新潟県新潟市・阿賀野市の県鳥および区鳥・市鳥である。
語源・由来:
白鳥の鳴き声や姿態が由来となったと考えられています。
用例:
- 古典文学: 万葉集や古今和歌集など、数多くの古典文学作品に「鵠」が登場します。「白鳥の詩」として、高貴な恋や理想を表現する際に用いられました。
- 比喩: 高潔な人物や、高嶺の花のような存在を比喩する際に使われます。
鵠(こく)
意味:
- 弓の的の中央にある黒い星。
- 目標、的。
- 白鳥。
的絵(的の模様)には霞的と星的と色(得点)的の3種類がある。
競技規則には的中制の標的として霞的と星的が規定されているが、一般・中高生では通常霞的が使用される。大学弓道は全日本学生弓道連盟規約で星的の使用を定めている。実業団では得点的が使用される。
なお霞・星的を用いる通常の競技では的中の判定は「あたり」か「はずれ」のみであり、的のどこにあたろうと差はない。
霞的
中心から順に中白(半径3.6cmの円)、1の黒(幅3.6cm)、2の白(幅3.0cm)、2の黒(幅1.5cm)、3の白(幅3.0cm)、外黒(幅3.3cm)の輪状に塗られているもの。本来は正式の的であるが、現在では大学弓道を除いて一般的に使われる。中心の白円は正鵠ともいい、物事の要点をとらえる事を表す『正鵠を得る』とは的の中心に当たることである。(「正」「鵠」とも的の意)。
【左:星的。 右:霞的。霞的の中心の白円が正鵠】
星的
白地の中心に半径6cmの黒丸を描いたもので、黒丸を特に星という。『図星』の語源といわれる。略儀の的であり、大学弓道の競技ではこれを用いる。
得点的
実業団の大会で用いられる。色は中心から金・緑・赤・白であり、得点は金10点、緑7点、赤5点、白3点である。
語源・由来:
弓の的の中央の黒い星を指すことから、目標や的という意味に転じました。
白鳥を指す意味も、古くから使われてきた言葉です。
用例:
- 弓道: 弓道において、的の中央を「鵠」と呼びます。
- 比喩: 目標を達成すること、理想を追うことを表す際に用いられます。
「正鵠を射る」という言葉は、まさに的を射た見事な比喩として有名です。
「鵠」と地名
鵠沼(くげぬま):
神奈川県藤沢市にある地名です。
かつては白鳥が多く飛来していたことから「くぐいぬま」と呼ばれていましたが、時間の経過とともに「くげぬま」に変化しました。
鵠沼(くげぬま)は、神奈川県藤沢市の南部中央にある地域の地区名。
鵠(くぐい)とは白鳥の古名で、かつてこの辺りには沼が多くあり、鵠が多く飛来していたといわれている。
地名の由来
鵠沼には湿地が多くあり、鵠(くぐい)とは白鳥の古名で白鳥が飛来したからだといわれている。が、白鳥が降り立った沼があったか確証はない。『新編相模国風土記稿』では久久比奴末と読みが付けられている。
鵠沼の「くげ」が「くぐい」から変化した理由については、いくつかの説が考えられます。
- 方言の変化: 地元の言葉や方言によって、発音が変化することがあります。
- 時間の経過による変化: 長い年月をかけて、言葉は変化していくものです。
- 他の言葉との混同: 似た音の言葉と混同され、発音が変化した可能性も考えられます。
鵠沼のように、地名が時間の経過とともに変化する例は多く見られます。
これは、言葉が生きている証であり、その土地の歴史や文化を物語る上で重要な要素と言えるでしょう。
その他の地名:
鵠沼以外にも、「鵠(こう)」や「くぐ」を由来とする地名が全国各地にある可能性があります。
しかし、具体的な例を挙げるのは難しいですが、地域の歴史や伝承を紐解くことで、新たな発見があるかもしれません。
「鵠」に関連する言葉や故事
鴻鵠之志:
鴻(こう)は雁、鵠は白鳥を指し、大きな志を持つこと、高遠な理想を持つことを意味します。
鵠経:
弓術の書物で、的の中央の黒い星を「鵠」と呼び、射術の目標としていました。
まとめ
「鵠」という漢字は、その多様な意味と美しい響きから、古今を通じて人々に愛されてきた漢字です。
白鳥の優雅な姿や、目標に向かって突き進む姿など、様々なものを象徴しています。
地名や文学作品など、私たちの身近なところにも「鵠」は息づいています。
興味深いですよ!「鵠(くぐい)」。