標準和名ではない「猩猩」と呼ばれる動物やその呼称そのものについて、意味や語源、用例などを深掘りリサーチしました。
和名等を漢字表記した場合に「猩猩」が含まれる生き物名も多いですね。
「猩猩」につき、以下の目次に沿って解説していきます。
猩猩(しょうじょう)とは?
猩猩は、古代中国から伝わる想像上の生き物です。人によく似た顔を持ち、赤い体毛に覆われた猿のような姿で描かれることが多いです。酒を好み、人の言葉を理解できるとも言われています。
猩猩の意味と由来
猩猩の起源は定かではありませんが、いくつかの説があります。
- オランウータンとの混同: 猩猩の記述の中には、オランウータンの特徴と似ている部分があります。
そのため、古代の人々がオランウータンを目撃し、その特徴を誇張して想像上の生き物として作り出したという説が有力です。 - 赤い色の象徴性: 猩猩の赤い体毛は、生命力や熱情、そして魔除けの象徴として考えられていました。
- 酒との関連: 猩猩は酒を好むという特徴から、酒の神様や、酒を象徴する存在として捉えられていた可能性もあります。
猩猩の用例
猩猩という言葉は、様々なものに用いられています。
「猩猩」は、その鮮やかな赤色や酒を好むというイメージから、様々な生物の名前に用いられてきました。その由来は、主に以下の3つに集約されます。
- 赤い色: 猩猩の赤い体毛に由来し、赤い色をした生物に多く見られます。
- 酒: 猩猩が酒を好むという特徴から、酒に関連する性質を持つ生物に用いられます。
- 類人猿: オランウータンの別名としても用いられたことから、類人猿の仲間にも見られます。
以下に、具体的な例をいくつか挙げます。
植物
- 猩猩木(ショウジョウボク): 赤い花が咲く植物の総称。ポインセチアも、日本に渡来した際に「猩猩木」と呼ばれるようになりました。
ポインセチア - Wikipedia
ポインセチア(英: Poinsettia、学名 Euphorbia pulcherrima)はトウダイグサ科トウダイグサ属の植物。常緑性低木。学術上の標準和名はショウジョウボクであり、ポインセチアは通名である。 - 猩猩草(ショウジョウソウ): 赤い花や葉を持つ植物の総称。または以下。
ショウジョウソウ - Wikipedia
ショウジョウソウ(猩猩草、学名:Euphorbia cyathophora)は、トウダイグサ科トウダイグサ属の一年草。花期に頂部の苞葉が赤く色付き、園芸用に栽培されるが、世界中の熱帯を中心に帰化植物としても分布を広げている。
和名のショウジョウは、赤い苞を中国由来の想像上の動物である猩猩の赤い顔に喩えたものである。茎は草質で基部のみ木質化するが、その度合いは近縁種のポインセチアほどではなく、この違いがショウジョウソウとショウジョウボク(ポインセチアの和名)の名称の由来である。
英名ではファイア・オン・ザ・マウンテンの呼称があり、同じトウダイグサ属のハツユキソウがスノー・オン・ザ・マウンテンと呼ばれるのと対をなしている。サマーポインセチアの名で販売されることがある。
- 猩猩花(ショウジョウカ): 赤い花を咲かせる植物の総称。または以下。
ショウジョウカ - Wikipedia
ショウジョウカ(猩猩花、学名:Abutilon pictum)は、アオイ科イチビ属(アブチロン属)の常緑低木。ブラジル原産。観賞用に栽培されるとともに、アブチロン属の交雑品種の親としても重要な種である。 - 猩猩菅(ショウジョウスゲ): 赤みを帯びたスゲの仲間。shoujo
- 猩猩袴(ショウジョウハカマ)
ショウジョウバカマ(猩々袴、学名: Heloniopsis orientalis )は、メランチウム科ショウジョウバカマ属の多年草。北海道から九州までの、やや湿った場所に生える。垂直分布が広く、人里近くの田んぼの畦道から高山帯の高層湿原まで生えている。名前は、花が赤いのを猩々(中国の伝説上の動物のこと)になぞらえ、根生葉の重なりが袴に似ていることから名付けられたとされる。
動物
類人猿(ヒト科)
- 猩猩(ショウジョウ): 猩猩そのものを指す最も一般的な呼び名ですが、オランウータンの別名でもあります。
この子かな? pic.twitter.com/MPI7cMt5zW
— ぺろみ (@AsouTanatana) 2018年7月5日 - 黒猩猩(クロショウジョウ): チンパンジーの別名。
- 大猩猩(ダイショウジョウ): ゴリラの別名。
類人猿(ヒト科)以外
- ショウジョウバエ: 酒に誘引される性質から、猩猩になぞらえて名付けられました。
ショウジョウバエ - Wikipedia
ショウジョウバエの和名は、代表的な種が赤い目を持つことや酒に好んで集まることから、顔の赤い酒飲みの妖怪「猩々」にちなんで名付けられた。日本では、俗にコバエ(小蝿)やスバエ(酢蝿)などとも呼ばれる。 - 猩猩海老(ショウジョウエビ): 赤い体色のエビの総称。
- 猩猩蟹(ショウジョウガニ): 赤い体色のカニの総称。
- 猩猩貝(ショウジョウガイ): 赤い色の貝の総称。
- 猩猩蜻蛉(ショウジョウトンボ): 赤い体色のトンボの総称。
- 猩猩朱鷺(ショウジョウトキ):
ショウジョウトキ - Wikipedia
ショウジョウトキ (猩猩朱鷺、学名:Eudocimus ruber )は、ペリカン目トキ科に分類される鳥類の一種である。同属のシロトキとは体形、習性が同じであり、飼育下では比較的簡単に交雑雑種をつくることができるため、一部には両者は同種として扱うべきだという意見もある。しかし、ベネズエラにある両種の混合コロニーで自然の交雑例がないことなどから、別種として扱う説が有力である。
その他
- 猩猩小僧(ショウジョウコゾウ): 赤い顔をした妖怪の一種。
- 猩猩緋(ショウジョウヒ): 猩猩の赤い体毛の色を指す鮮やかな赤色の呼び名です。
- 猩猩面(ショウジョウメン): 能や歌舞伎で用いられる、赤い顔をした鬼や妖怪の面。
- 猩猩酒(ショウジョウス): 猩猩が好むとされる架空の酒。
猩猩が文化に与えた影響
猩猩は、中国や日本の文化に深く根付いており、様々な分野で登場します。
- 文学: 古典文学や物語に登場し、その独特な姿や特徴が描かれます。
- 美術: 絵画や彫刻の題材として、その神秘的な姿が表現されます。
- 能・歌舞伎: 能の演目や歌舞伎の舞台で、猩猩が重要な役割を演じます。
- 民俗芸能: お祭りの神輿や獅子舞などで、猩猩の面をかぶった者が登場します。
まとめ
猩猩は、古代中国から伝わる想像上の生き物であり、その神秘的な姿や特徴から、人々に長く愛されてきました。猩猩は、単なる架空の生き物にとどまらず、様々な文化的な意味合いを含んでいます。
「猩猩」という名前は、その美しい響きと、赤い色や酒といった象徴的なイメージから、様々な生物に用いられてきました。猩猩という存在が、古くから人々にどのように捉えられてきたのか、その一端に触れることができるでしょう。